12 / 71
二つ年上の婚約者はとても良い相手だと思っていたのですが……実は裏切っていました。~最低男からはさっさと離れるに限ります~
しおりを挟む
婚約者イリードは私より二つ年上。
爽やかな容姿の持ち主である彼を私は心から尊敬していたし、とても良い結婚相手だと思っていた。
だがその認識は崩れ去ることとなる。
……そう、イリードの浮気が判明したのだ。
イリードは私より二つ年下の女性ミレと浮気していた。
彼は週に一度は彼女と会い二人でお茶をしてから深い関係になっていたのだ。
それが判明した時、私は一気に、彼を良き相手と思えなくなった。
そのことを父に話すと父は激怒。もう関係は終わりとする、と言って聞かなくなって。怒りの波に乗るように、父は、イリードに関係の解消――つまり婚約破棄を告げた。
いざそのことを言われるとイリードは「ミレとはただの仕事の関係」だとか「親しいわけじゃない。仕事で一緒に何かしていることが多いからそう見えてしまったかもしれないけれど、実際にはそんなことはない。ただの知り合いでしかない」だとか言ったそうで。
しかしそういった発言は父をさらに怒らせるだけだった。
――そして、婚約は破棄となった。
私とイリードの関係は終わってしまった。
それは非常に残念なことで。
だがイリードとミレそれぞれから謝罪の気持ちを表すためのお金をもぎ取ることができたのは幸運だった。
すべて父がやってくれたことだ。
そういう意味では父はとても頼もしかったし、心から感謝している。
その後イリードとミレは私への支払いの件で揉めたらしく、そのまま破局、二人が結ばれ幸せになる未来はなかったようだ。
……ま、それはそうか。
私が傷つけられて、身勝手な二人が楽しく暮らせるなんて、そんな未来があったとしたらあまりにも理不尽だ。
そんなことが許されるはずがない。
なんせ彼らは罪を犯したのだから。
◆
イリードとの婚約が破棄となった事件から二年半、私は、伯母の紹介で知り合った資産家の男性と結婚した。
彼は控えめな性格の人。だがさりげない優しさを持っている。外見は地味でも、思いやりのある、とても善良な男性だ。
だからこそ、一度は男に懲りた私でも段々心奪われたし、生涯を共にしたいと思えるまでになった。
ちなみにイリードはというと、あれから次の相手を探し始めるも条件の良い相手はなかなか見つからなかったそうでそのうちに段々心を病んでしまったそうで――今は心の病を治すために治療を受けているのだそうだが、治療も順調ではなく、どうしようもない状態で日々をただ抜け殻のように生きているらしい。
一方ミレはというと、ある晩酒場で呑み過ぎて支払えなくなりかなりの額の借金を背負ってしまい、その後内臓を抜かれ売り飛ばされることとなってしまったそうだ。
最後に幸せを掴んだのは私だった。
でもそうであるべきだと思う。
なんせ私は一切悪行に手を染めてはいないのだから。
破滅するべきなのは悪いことをした人たち。
……そういうものだろう?
◆終わり◆
爽やかな容姿の持ち主である彼を私は心から尊敬していたし、とても良い結婚相手だと思っていた。
だがその認識は崩れ去ることとなる。
……そう、イリードの浮気が判明したのだ。
イリードは私より二つ年下の女性ミレと浮気していた。
彼は週に一度は彼女と会い二人でお茶をしてから深い関係になっていたのだ。
それが判明した時、私は一気に、彼を良き相手と思えなくなった。
そのことを父に話すと父は激怒。もう関係は終わりとする、と言って聞かなくなって。怒りの波に乗るように、父は、イリードに関係の解消――つまり婚約破棄を告げた。
いざそのことを言われるとイリードは「ミレとはただの仕事の関係」だとか「親しいわけじゃない。仕事で一緒に何かしていることが多いからそう見えてしまったかもしれないけれど、実際にはそんなことはない。ただの知り合いでしかない」だとか言ったそうで。
しかしそういった発言は父をさらに怒らせるだけだった。
――そして、婚約は破棄となった。
私とイリードの関係は終わってしまった。
それは非常に残念なことで。
だがイリードとミレそれぞれから謝罪の気持ちを表すためのお金をもぎ取ることができたのは幸運だった。
すべて父がやってくれたことだ。
そういう意味では父はとても頼もしかったし、心から感謝している。
その後イリードとミレは私への支払いの件で揉めたらしく、そのまま破局、二人が結ばれ幸せになる未来はなかったようだ。
……ま、それはそうか。
私が傷つけられて、身勝手な二人が楽しく暮らせるなんて、そんな未来があったとしたらあまりにも理不尽だ。
そんなことが許されるはずがない。
なんせ彼らは罪を犯したのだから。
◆
イリードとの婚約が破棄となった事件から二年半、私は、伯母の紹介で知り合った資産家の男性と結婚した。
彼は控えめな性格の人。だがさりげない優しさを持っている。外見は地味でも、思いやりのある、とても善良な男性だ。
だからこそ、一度は男に懲りた私でも段々心奪われたし、生涯を共にしたいと思えるまでになった。
ちなみにイリードはというと、あれから次の相手を探し始めるも条件の良い相手はなかなか見つからなかったそうでそのうちに段々心を病んでしまったそうで――今は心の病を治すために治療を受けているのだそうだが、治療も順調ではなく、どうしようもない状態で日々をただ抜け殻のように生きているらしい。
一方ミレはというと、ある晩酒場で呑み過ぎて支払えなくなりかなりの額の借金を背負ってしまい、その後内臓を抜かれ売り飛ばされることとなってしまったそうだ。
最後に幸せを掴んだのは私だった。
でもそうであるべきだと思う。
なんせ私は一切悪行に手を染めてはいないのだから。
破滅するべきなのは悪いことをした人たち。
……そういうものだろう?
◆終わり◆
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
私が我慢する必要ありますか?【2024年12月25日電子書籍配信決定しました】
青太郎
恋愛
ある日前世の記憶が戻りました。
そして気付いてしまったのです。
私が我慢する必要ありますか?
※ 株式会社MARCOT様より電子書籍化決定!
コミックシーモア様にて12/25より配信されます。
コミックシーモア様限定の短編もありますので興味のある方はぜひお手に取って頂けると嬉しいです。
リンク先
https://www.cmoa.jp/title/1101438094/vol/1/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる