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ちょっぴりひとやすみ? 詩のコーナー
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『抱き締めていたい』
抱き締めていたい
時折思うの
あの頃のように心通わせて
そっと微笑みあえたなら
どんなに良いでしょう
どんなに幸せでしょう
そんなことを思っては
そんなことを繰り返しては
悲しくなるけれど
それもまたわたしの人生なのだと
受け止めている自分もいる
苦しみも悲しみも
短い時間で癒えるものではないし
これから先にも
たまに振り返っては
きっと涙したり
きっと心痛めたり
そういう日もあるのだろうと
思いながらも
考えながらも
それでももうすぐ歩み出そうとしている
この足に
やめろとは言えないこともまた
一つの事実なのでしょう
抱き締めていたい
そう思うのはきっと
今でもどこか
あなたを想っているから
あの頃の温もりを
取り戻せないと知りながら
取り戻したいと足掻いている
惨めなわたしを
切り落としてと頼みたいけれど
それはとても難しいこと
抱き締めていたい
時折願うの
あの頃のように手を重ねて
そっと語りあえたなら
どんなに良いでしょう
どんなに幸せでしょう
そんなことを思っては
そんなことを繰り返しては
悲しくなるけれど
それもまたわたしの人生なのだと
受け止めている自分もいる
抱き締めていたい
時折思うの
ああ
抱き締めていたい
『ありふれた感情』
あの頃は確かに
あなたのことが好きだった
初めて出会ったあの茶会で
体調を崩していたときに
そっと声をかけてくれたあなたの優しさが
あまりにも救いだったから
いつの間にかあなたに惚れていたの
それは
なんてことのない
ありふれた感情
好きと言ってしまえば
極めてシンプルだから
馬鹿みたいだと笑う人もきっといるでしょう
けれどもわたしは
あなたに惹かれて
あなたの優しさに惹かれて
どうしようもなく好きだったから
笑われるくらい構わないと
笑われるくらい平気なのだと
いつもそう思っていた
あの頃は確かに
あなたのことが好きだった
単純すぎるわたしは
あなたのほんの少しの思いやりに触れて
とろけるような心地で
その刹那を繰り返しては
夢をみるように
夢に溺れるように
あなたに想いを馳せる
それは
なんてことのない
ありふれた感情
あなたとはもう会えないけれど
それでもまた愛していることは事実
それは
なんてことのない
ありふれた感情
『手紙を書いてみたい』
手紙を書いてみたい
もう二度と会えないあなたに
そんなことを考えたら
そんなことを口にしたら
愚かだと笑われてしまうかもしれないけれど
でもそれが真実だから
どうしようもないの
馬鹿な女だとしても
それがわたしだから
馬鹿な女と笑われても
それでいいと思うくらいなの
ずっと好きだった
いいえ
ずっと好きなの
今でもそう
想いはきっと
あの頃と少しも変わっていない
ずっと一緒にいるつもりだった
だって婚約者同士だったから
二人の未来は確かなものなのだと
あの頃は当たり前のように信じていて
二人の幸せは永遠に
続いてゆくものだと信じていた
あなたがあんなことを言い出すなんて思わなかった……
手紙を書いてみたい
もう二度と会えないあなたに
今なら書けるかな?
なぜかそんな気がして
手紙を書いてみたい
もう二度と会えないあなたに
今なら書けるかな?
なぜかそんな気がする
『今でも好きって言いたくて』
婚約者同士だった頃
わたしたちは
同じ未来を見ていると思っていた
わたしが二人の未来を想うように
あなたもまた幸せな明日を想っているのだと
信じて疑わなかったあの頃のわたしは
きっとこんな未来が待っているなんて
欠片ほども思わなかったのでしょう
浮気されて
婚約破棄されて
さよならが
こんなにも近くにあるなんて
嘘でしょう
ほんの少しも想像していなかった
あなたのいない今日を
あなたのいないこの時を
あの頃もわたしが知っていたとしたら
どんな風に悲しみ
どんな風に傷ついたのか
それは分からないことだけれど
そんなものは分からないままの方が良いのだと
そう思うから
わざわざ過去に戻って
この定めを告げたいとは思わない
今でも好きって言いたくて
あなたと一緒に歩く道は
いつの間にか見えなくなってしまった
あなたと語り合う言葉は
いつの間にか雨音に掻き消された
それでも想いは潰えたわけではないから
今でももしあの頃に戻れたらと
そう思う夜がないわけじゃない
今でも好きって言いたくて
婚約者同士だった頃
わたしたちは
同じ未来を見ていると信じていた
だってそういうものでしょう?
共に生きると決めた時から
二人同じ道を歩いてゆくのだと
世界に約束したのだから
高い空に誓ったのだから
わたしはあの時と同じ気持ちのまま
今でも好きって言いたくて
言ってもいい?
今でも好きって言いたくて
それくらいなら構わない?
今でも好きって言いたくて
『チョコレートは今日も甘いわ』
チョコレートは今日も甘いわ
そしてあなたとの記憶もそれと同じ
とても甘くて
けれども溶けてなくなってしまった
美味しくて魅力的なチョコレートほど
淡い雪のように
口の中で溶けるものでしょう?
ふわりほろりと
何の前触れもなく溶けてなくなってしまう
あなたとの日々もそれと同じで
愛おしさに舌で触れるほどに
その輪郭は曖昧になって
いつしか姿を消してしまう
さよならも言わないまま
そうねきっと
幸せとはそういうものなのでしょう
それは永遠のようで
そうよ一瞬でしかない
それがきっと
幸せというものの姿なのでしょう
グラスからこぼれるチョコレートを舐めるように
あの日々から溢れた愛を舐めとってしまえば
きっと愛しさが口の中を満たして
その時だけは幸福の中にいられるの
そうねきっと
幸せとはそういうものなのでしょう
それは永遠のようで
そうよ一瞬でしかない
それがきっと
幸せというものの姿なのでしょう
とろけるそれを
指ですくって
その先についたものに
舌で触れれば
嘘みたいに甘い匂いが
胸の内に満たしてゆく
溢れ出す愛は
その甘さに似ている
チョコレートは今日も甘いわ
そしてあなたとの記憶もそれと同じ
とても甘くて
けれども溶けてなくなってしまった
美味しくて魅力的なチョコレートほど
淡い雪のように
口の中で溶けるものでしょう?
『心と空と』
悲しいことがあったとき
辛いことがあったとき
つまづいて転んで
今にも泣き出してしまいそうな日に
あの高い空から降り注ぐ雨はまるで
わたしの涙ぐむ心を
あの大きな鏡が映し出しているかのよう
思えばそうだった
あなたとの婚約が破棄になると
決まり告げられたあの日も
帰り道泣き出しそうになって
鼻の奥の痛みを感じていたら
晴れていたのに突然雨が降り出した
不思議なものだと思う
心と空が重なり合うなんて
魔法でも使ったかのようね
でもそういうわけではなくて
だってわたしは普通の人間で
だってわたしは普通の女だから
魔法なんて
使えるわけもなくて
心と空を繋げるすべなど
何一つとして持ってはいない
悲しいことがあったとき
辛いことがあったとき
つまづいて転んで
今にも泣き出してしまいそうな日に
あの高い空から降り注ぐ雨はまるで
わたしの涙ぐむ心を
あの大きな鏡が映し出しているかのよう
抱き締めていたい
時折思うの
あの頃のように心通わせて
そっと微笑みあえたなら
どんなに良いでしょう
どんなに幸せでしょう
そんなことを思っては
そんなことを繰り返しては
悲しくなるけれど
それもまたわたしの人生なのだと
受け止めている自分もいる
苦しみも悲しみも
短い時間で癒えるものではないし
これから先にも
たまに振り返っては
きっと涙したり
きっと心痛めたり
そういう日もあるのだろうと
思いながらも
考えながらも
それでももうすぐ歩み出そうとしている
この足に
やめろとは言えないこともまた
一つの事実なのでしょう
抱き締めていたい
そう思うのはきっと
今でもどこか
あなたを想っているから
あの頃の温もりを
取り戻せないと知りながら
取り戻したいと足掻いている
惨めなわたしを
切り落としてと頼みたいけれど
それはとても難しいこと
抱き締めていたい
時折願うの
あの頃のように手を重ねて
そっと語りあえたなら
どんなに良いでしょう
どんなに幸せでしょう
そんなことを思っては
そんなことを繰り返しては
悲しくなるけれど
それもまたわたしの人生なのだと
受け止めている自分もいる
抱き締めていたい
時折思うの
ああ
抱き締めていたい
『ありふれた感情』
あの頃は確かに
あなたのことが好きだった
初めて出会ったあの茶会で
体調を崩していたときに
そっと声をかけてくれたあなたの優しさが
あまりにも救いだったから
いつの間にかあなたに惚れていたの
それは
なんてことのない
ありふれた感情
好きと言ってしまえば
極めてシンプルだから
馬鹿みたいだと笑う人もきっといるでしょう
けれどもわたしは
あなたに惹かれて
あなたの優しさに惹かれて
どうしようもなく好きだったから
笑われるくらい構わないと
笑われるくらい平気なのだと
いつもそう思っていた
あの頃は確かに
あなたのことが好きだった
単純すぎるわたしは
あなたのほんの少しの思いやりに触れて
とろけるような心地で
その刹那を繰り返しては
夢をみるように
夢に溺れるように
あなたに想いを馳せる
それは
なんてことのない
ありふれた感情
あなたとはもう会えないけれど
それでもまた愛していることは事実
それは
なんてことのない
ありふれた感情
『手紙を書いてみたい』
手紙を書いてみたい
もう二度と会えないあなたに
そんなことを考えたら
そんなことを口にしたら
愚かだと笑われてしまうかもしれないけれど
でもそれが真実だから
どうしようもないの
馬鹿な女だとしても
それがわたしだから
馬鹿な女と笑われても
それでいいと思うくらいなの
ずっと好きだった
いいえ
ずっと好きなの
今でもそう
想いはきっと
あの頃と少しも変わっていない
ずっと一緒にいるつもりだった
だって婚約者同士だったから
二人の未来は確かなものなのだと
あの頃は当たり前のように信じていて
二人の幸せは永遠に
続いてゆくものだと信じていた
あなたがあんなことを言い出すなんて思わなかった……
手紙を書いてみたい
もう二度と会えないあなたに
今なら書けるかな?
なぜかそんな気がして
手紙を書いてみたい
もう二度と会えないあなたに
今なら書けるかな?
なぜかそんな気がする
『今でも好きって言いたくて』
婚約者同士だった頃
わたしたちは
同じ未来を見ていると思っていた
わたしが二人の未来を想うように
あなたもまた幸せな明日を想っているのだと
信じて疑わなかったあの頃のわたしは
きっとこんな未来が待っているなんて
欠片ほども思わなかったのでしょう
浮気されて
婚約破棄されて
さよならが
こんなにも近くにあるなんて
嘘でしょう
ほんの少しも想像していなかった
あなたのいない今日を
あなたのいないこの時を
あの頃もわたしが知っていたとしたら
どんな風に悲しみ
どんな風に傷ついたのか
それは分からないことだけれど
そんなものは分からないままの方が良いのだと
そう思うから
わざわざ過去に戻って
この定めを告げたいとは思わない
今でも好きって言いたくて
あなたと一緒に歩く道は
いつの間にか見えなくなってしまった
あなたと語り合う言葉は
いつの間にか雨音に掻き消された
それでも想いは潰えたわけではないから
今でももしあの頃に戻れたらと
そう思う夜がないわけじゃない
今でも好きって言いたくて
婚約者同士だった頃
わたしたちは
同じ未来を見ていると信じていた
だってそういうものでしょう?
共に生きると決めた時から
二人同じ道を歩いてゆくのだと
世界に約束したのだから
高い空に誓ったのだから
わたしはあの時と同じ気持ちのまま
今でも好きって言いたくて
言ってもいい?
今でも好きって言いたくて
それくらいなら構わない?
今でも好きって言いたくて
『チョコレートは今日も甘いわ』
チョコレートは今日も甘いわ
そしてあなたとの記憶もそれと同じ
とても甘くて
けれども溶けてなくなってしまった
美味しくて魅力的なチョコレートほど
淡い雪のように
口の中で溶けるものでしょう?
ふわりほろりと
何の前触れもなく溶けてなくなってしまう
あなたとの日々もそれと同じで
愛おしさに舌で触れるほどに
その輪郭は曖昧になって
いつしか姿を消してしまう
さよならも言わないまま
そうねきっと
幸せとはそういうものなのでしょう
それは永遠のようで
そうよ一瞬でしかない
それがきっと
幸せというものの姿なのでしょう
グラスからこぼれるチョコレートを舐めるように
あの日々から溢れた愛を舐めとってしまえば
きっと愛しさが口の中を満たして
その時だけは幸福の中にいられるの
そうねきっと
幸せとはそういうものなのでしょう
それは永遠のようで
そうよ一瞬でしかない
それがきっと
幸せというものの姿なのでしょう
とろけるそれを
指ですくって
その先についたものに
舌で触れれば
嘘みたいに甘い匂いが
胸の内に満たしてゆく
溢れ出す愛は
その甘さに似ている
チョコレートは今日も甘いわ
そしてあなたとの記憶もそれと同じ
とても甘くて
けれども溶けてなくなってしまった
美味しくて魅力的なチョコレートほど
淡い雪のように
口の中で溶けるものでしょう?
『心と空と』
悲しいことがあったとき
辛いことがあったとき
つまづいて転んで
今にも泣き出してしまいそうな日に
あの高い空から降り注ぐ雨はまるで
わたしの涙ぐむ心を
あの大きな鏡が映し出しているかのよう
思えばそうだった
あなたとの婚約が破棄になると
決まり告げられたあの日も
帰り道泣き出しそうになって
鼻の奥の痛みを感じていたら
晴れていたのに突然雨が降り出した
不思議なものだと思う
心と空が重なり合うなんて
魔法でも使ったかのようね
でもそういうわけではなくて
だってわたしは普通の人間で
だってわたしは普通の女だから
魔法なんて
使えるわけもなくて
心と空を繋げるすべなど
何一つとして持ってはいない
悲しいことがあったとき
辛いことがあったとき
つまづいて転んで
今にも泣き出してしまいそうな日に
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