私は自分が生きたいと思える人生を求め続けていきたいのです！ すみませんが貴方の言いなりにはなれません。

３話

　でもそれで良かった。
　だって彼だけしか見ないで生きていくなんて私には不可能だったから。

　私は奴隷じゃない。
　だから彼の言いなりで生きてゆくなんてことはできない。

　私には自分なりに生きたい人生があるのだ。


　◆
　

　あれから数年、私は今、結婚した彼と共にパン屋を営んでいる。

　店は両親から譲り受けたものだ。
　そこで日々夫と共に働いている。

　両親もまだ定期的に手伝いはしてくれているけれど、一応この店は私の店となっているのである。

　で、今やこの店は人気店である。

　私が開発した商品が大ヒットした、ということがたびたびあって。そんな風にして歩んでいるうちに店の知名度は急上昇。かつては地域密着型のこじんまりとしたパン屋であったが、今は遠いところから来店してくれる人もいるくらい有名なパン屋となっている。

　毎日はとても忙しい、でも楽しい。

　やりたいことをやって生きられる。
　そんな嬉しいことはない。

　日々生地をこねて生きよう。

　――それが我が望みなのだから。

　ちなみにアーロンはというと。

　良家のご令嬢と婚約しているにもかかわらず浮気相手と旅行に出ていて、その最中火薬工場の爆発事故に巻き込まれたそうだ。

　で、それによって浮気していたことが発覚してしまって。

　その話を知った婚約者の両親は激怒、一瞬にして婚約破棄されたうえ驚くくらいの額の慰謝料を支払わされたそう。

　またそれだけでは終わらず。
　婚約者の父親が雇った男たちによって裏切りの罰として数日間監禁され暴行を加えられ続けることとなってしまったそうだ。

　アーロンを待っていた未来、それは地獄そのものであった。


◆終わり◆