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後編

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 ◆


 フレデリカはある日の夕暮れ時自宅付近の庭園で一人の青年に出会った。
 天使の羽のような白い服を来た青年。
 その少し異国風な容姿に興味を持ったフレデリカは彼に話しかけてみる。

「ああ、実は……この国の人間ではないんです」
「やはり……!」
「この格好じゃばれちゃいますかね」
「綺麗ですよ。悪い印象はないと思います」

 それから何度か顔を合わせた二人。
 次第にお互いに惹かれてゆく。

 そして、出会いから数ヵ月、フレデリカに手紙が届いた。

『貴女と結婚したいという思いがある』

 それは彼からのプロポーズだった。

 フレデリカはそれを受け入れた。
 他国へ行かなくてはならないかもしれないことには多少抵抗はあったけれど。
 それでも彼といたかった。

 彼がとある国の王であるとフレデリカが知ったのはそれからで。

 けれども二人は結ばれた。

「これからよろしく」
「はい、こちらこそ」

 王と王妃。

 二人を待つのは、幸せな未来だ。


 ◆


 一方その頃。
 オッポーとリリーは離婚していた。

 リリーの罠にかかり結婚にまで持ち込まれたオッポーだったが、リリーの家が自分の家の名を悪用していることに気づき、それによって離婚を決めた。

 リリーとその親は、オッポーの家の信頼を利用し、多額の借金をしていたのである。
 しかもそのほとんどが贅沢な生活をするため。
 返済者の欄にはオッポーの名前を勝手に記入していた。

 離婚後、リリーの家は、オッポーの家から償いのお金を支払うよう求められて。その支払いのためにまた借金をすることとなり、最終的には娘二人を売りに出さなくてはならないこととなってしまった。

 だがオッポーの方も苦労があって。
 リリーらに勝手に作られた借金の返済をしなくてはならなくなったのだ。

 それによって、彼もまた、貧しくなってしまった。

 オッポーとリリーがフレデリカに会うことは、もう二度とないだろう。


◆終わり◆
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