国王で婚約者の彼から婚約破棄を告げられました。~その後誘いがあったので魔王の妻になりましたが、穏やかに暮らせていて幸せです~

四季

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前編

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「お主との婚約は破棄とする!」

 青い空が悲しくなるほどに美しかったその日、私は、一国の王である男性リリガオンから婚約の破棄を告げられた。

「え……そ、それは一体、どういう……話、で……?」

 いきなり過ぎて脳が追いつかない。

「婚約は破棄、と言っておるだろう。聞こえなかったのか。どうやらかなり耳が遠いようだな。やはりお主は我に相応しくない」

 いや、耳が遠いわけではないのだ。

 聞こえてはいる。
 言葉そのものは。
 ただなぜそんなことを言われているのかが理解できないのだ。

「え、えと、あの……耳が遠いとかではないですが……」
「婚約破棄と言っておるのだ! ……分かったか? 分かったなら去れ。今すぐにな。それをしないというのなら容赦はしない、我はお主を死刑にすることも躊躇いはしないのだ」

 死刑、て。

 さすがに過激過ぎる……。

「しょ、承知しました。つまり、去れば良いのですね?」
「ああそういうことよ」
「分かりました。ではこれにて。さようなら」
「ああ」

 死刑にされるのは嫌だ。
 だから私は彼の言葉に従い去ることにした。

 しかし、これからどうしよう……。

 婚約破棄された私にできることなんてあるのか?
 もしあるとしてもどうやって見つければ良いのだろう?

 何を目指して生きてゆけば良いのか分からない。
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