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しおりを挟む「あなたってほんと色々遅いわね! まったく、だらしない……。そんなだから婚約破棄されるのよ!」
それが最近の母の口癖だ。
確かに私は婚約破棄された。
二週間ほど前のことだ。
しかしその理由は私の言動ではなく母が彼に対し嫌がらせに近いような行為を繰り返していたからである。
つまり、母のせいで婚約破棄されたのだ。
しかし母はここぞとばかりに私を見下してくるようになった。
自分が生み育てた娘に対して、価値がない、みたいなことを言うのはどうかと思うが……。
ただ、母にとってはそれが普通のことで、特別悪いこととは思っていない様子である。
そうして私は今日も今日とてこき使われる。
「ちょっと! ここのこれ運びなさいよ!」
「はい」
「遅い! 返事ももっとはっきり言いなさい!」
「すみません」
「返事はいいから! さっさと運んでちょうだい」
母はいつだって理不尽だ。
ああ言えばこう言うを日々繰り返す。
「できました」
「まったく、いちいち言われなくちゃできないの? もっと自分で考えて動きなさいよ。ほーんと無能ね。そんなだから婚約破棄されるのよ? 分かっているの?」
「婚約破棄されたのは母さんが彼にやたら絡んでいっていたからじゃ……」
つい出来心でたまに本当にことを言ってしまうと。
「はぁ!? 私のせいにするっていうの!? 最低娘!!」
またとんでもなく怒られる。
でもこういう時少しだけすっとするのだ。
やってやった、と。
怒るということはまったく自覚がないわけではないのだろう。
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