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後編
しおりを挟む刹那。
城の各所で一斉に起きる爆発。
状況が一変する。
人々の顔が絶望に染まってゆく、もちろん王子も例外ではない。
「なっ、何が起きている!?」
「分かりません!」
「馬鹿が! 調べてこい! そしてすぐに報告しろ!」
「は、はいっ、承知しましたっ……ぶひゃっ」
王子から指示を受けた人は出ていこうとして倒れてきた大きな扉に潰された。
目の前で命が散る。
その光景に王子は取り乱す。
「あわわわわわわわわ……護れ! 皆護れ! 王子だぞ! 王子の身に何かあれば全員死刑だぞ! 分かっているのか――あ」
瞬間、どこから飛んできた槍が、ツイン王子の胸を貫いた。
彼はその場で崩れ落ち。
そのまま冷えてゆく。
私は彼を助けることはせず、その場から離れることにした。
◆
あれから六年、私はもう生まれ育った国にはいない。
一家で隣国へ引っ越したのだ。
災難から逃れるために。
婚約破棄を告げられたあの日からあの国では災難が発生し続けた。驚くくらいの頻度で悲劇が繰り返された。で、あの国は、あっという間に国としての形を保てなくなったようだった。
王族もそのほとんどが死亡したようだ。
ツイン王子はもちろんだが。
王も、王妃も、王女らも、皆死んだ。
でも私は穏やかに暮らせている。
愛する母がいて、嫌いではない父がいて――それだけは私は幸せだ。
◆終わり◆
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