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後編

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 フルリエは実家へは戻らなかった。
 そこへ言ってもまたややこしくなりそうに思ったからだ。

 彼女は心を決め、家から離れた地域へと旅立った。

 それからの彼女は風のようだった。
 心赴くままにいろんなところを巡って。

 そのうちに一人の男性と巡り合い、意気投合する。

 かつて虐められていた時の憂鬱そうなフルリエは消えた。彼女はもう自由、家にも婚約者にも縛られない。だからこそ、笑いたい時に心のままに笑えたのだ。

「ねぇ、私たち、これからも一緒にいませんか?」
「え、急だね」
「嫌です?」
「そんなこと! ないよ! う、うれ、嬉しいよ!」

 年の差は五つ。
 二人は結ばれ、幸せに旅し続けた。


 ◆


 一方オーブス一家はというと悲惨なことになった。

 フルリエを追い出して数ヵ月が経った頃、オーブスは、次の女性と婚約者同士になる。当然同居だ。そして、オーブスの母と姉妹は、やはり婚約者である女性を虐めた。

 だがその女性はフルリエとは違った。

 彼女は証拠を集め、彼女らの行いを世に出したのだ。

 それによってオーブス一家は社会的に死んだ。

 だがそれも当たり前だろう。息子の、兄弟の、婚約者を、複数人で虐めていたのだ。話が世に出てしまえば、そのようなことが許されるはずもない。そのようなことが起きていたと知れば、誰もが、やっていた側に良い感情は抱かない。

 その後、オーブスは誰からも婚約を拒否されるようになり、数年後病気で亡くなった。

 婚約者がいたオーブスの姉は、虐めた件が世に出たことで、婚約を破棄された。

 妹の方はというと、その時はまだ婚約者はいなかったのだが、その後誰にも相手されず、さらに『近寄られたら不幸になる』との噂を広められたことで傷ついて、ある日突然自ら逝った。

 そしてオーブスの母親は、亡き夫ボンの親から「一族の恥だ」と言われてしまい、ボンの妻という肩書きを剥奪されてしまった。


◆終わり◆
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