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7話「島の力が明らかになりました」
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刹那、イリッシュの背後にいた従者が「無礼者!」と叫び襲いかかってきた――しかしクリフィスが即座に反応し間に入ってくれる。
素手対素手で対峙することとなる二人。
クリフィスは見た感じ真面目そうな人だが強いのかどうかは定かでない。戦闘能力については知らないのだ。そのため従者を相手にして勝てるような人間なのかどうかは私には判断できない。もっとも、従者は武装していないので、その点では最悪のことにはならないだろうという安心感も少しはあるが。
「手を出すのは卑怯ですよ!」
「何だと!? 島流しにあったような愚かな犯罪者が我らが王子に口ごたえをするな!!」
従者とクリフィスは取っ組み合いを始める。
私は思わず一歩下がろうとしたのだが――右腕をイリッシュに掴まれる。
思ったより強い力。
骨が軋むみたいだった。
「物分かりの悪いやつだな。お前に拒否権などない。いいから大人しく戻ってこい」
「嫌です!」
「何だ、そこまで拒否するとは、どういうことだ。もしかして好きなやつでもできたのか?」
「違います! ですがもう貴方とは関わりたくないのです!」
当たり前だろう、あんな風に扱われて。
それでもなお彼に関わりたい人間なんているはずがない。
「関わりたくない? 俺と? 馬鹿なことを言うな! ふざけるなよ!」
「きゃ」
無理矢理身を引き寄せられる。
「救済のチャンスを与えてやるって言ってんだ! 大人しくしろ! お前はなぁ! 淑やかに俺に従っていればそれでいいんだ!」
だからそうしていたじゃないか、婚約破棄されるまでは。それでも捨てられた。それも、こちらが何か言ったわけではなく、そちらが一方的に切り捨てたのではないか。
「いや、離して――」
その時。
「お嬢に何してんだゴラァ!!」
家の陰から飛び出してきた男性数名が一斉にイリッシュへ襲いかかった。
「ぐ、ぐあっ! 何だお前たち!」
地面に押し倒されるイリッシュ。
「お前が王子とやらか!?」
「お嬢に乱暴なことするやつはぜってぇ許さねぇぞ!」
「今さら何しに来やがった!」
「一度お嬢を捨てたんだろ!? もう今さら何を言っても無駄だ!! お嬢はお前みたいなやつのところにゃ帰らねぇ!!」
男たちはイリッシュを地面に押し付けて棒で叩く。
そのたびに彼は情けない悲鳴をあげていた。
「うぎゃっ、うひっ、うぎょほっ、うごほ、っくほ、うぎゃっ、うひっ、うひほっ、びょあっ」
王子は今、皆によって直接罰を与えられている――物理的に。
「思えば俺を島流しにしたのもお前だったよなぁ! いつかやり返してやるって思ってたんだ! いい機会だぜ!」
「王子は消え失せろ!」
「お前みたいなやついなくなった方が世のためだぜ! なんせ次々非のない人間を島流しにするようなやつだからなぁ。悪の中の悪だ! しかも権力は持ってるからなおさらややこしい……今ここで消えてもらう!」
こうしてイリッシュは暴力の嵐に呑み込まれたのだった。
――島を訪れた王子イリッシュとその従者の男は拘束された、そして山の近いところにある小屋につるされる。
「王子様よぉ、これからは毎日楽しませてやるからなぁ」
「や、やめろ! 解放しろ! 俺は悪くない、悪いことなんて何もしていない!」
イリッシュは涙ながらに主張するが、そんな言葉は誰の心にも響かない。
「従者もな。……おまけでな」
「こんなことをして! 罪だぞ!」
「知るかよ、ここに法はねぇ」
「ぐっ……」
こうして二人の――否、主にイリッシュの――地獄のような苦難の日々が幕開けるのであった。
素手対素手で対峙することとなる二人。
クリフィスは見た感じ真面目そうな人だが強いのかどうかは定かでない。戦闘能力については知らないのだ。そのため従者を相手にして勝てるような人間なのかどうかは私には判断できない。もっとも、従者は武装していないので、その点では最悪のことにはならないだろうという安心感も少しはあるが。
「手を出すのは卑怯ですよ!」
「何だと!? 島流しにあったような愚かな犯罪者が我らが王子に口ごたえをするな!!」
従者とクリフィスは取っ組み合いを始める。
私は思わず一歩下がろうとしたのだが――右腕をイリッシュに掴まれる。
思ったより強い力。
骨が軋むみたいだった。
「物分かりの悪いやつだな。お前に拒否権などない。いいから大人しく戻ってこい」
「嫌です!」
「何だ、そこまで拒否するとは、どういうことだ。もしかして好きなやつでもできたのか?」
「違います! ですがもう貴方とは関わりたくないのです!」
当たり前だろう、あんな風に扱われて。
それでもなお彼に関わりたい人間なんているはずがない。
「関わりたくない? 俺と? 馬鹿なことを言うな! ふざけるなよ!」
「きゃ」
無理矢理身を引き寄せられる。
「救済のチャンスを与えてやるって言ってんだ! 大人しくしろ! お前はなぁ! 淑やかに俺に従っていればそれでいいんだ!」
だからそうしていたじゃないか、婚約破棄されるまでは。それでも捨てられた。それも、こちらが何か言ったわけではなく、そちらが一方的に切り捨てたのではないか。
「いや、離して――」
その時。
「お嬢に何してんだゴラァ!!」
家の陰から飛び出してきた男性数名が一斉にイリッシュへ襲いかかった。
「ぐ、ぐあっ! 何だお前たち!」
地面に押し倒されるイリッシュ。
「お前が王子とやらか!?」
「お嬢に乱暴なことするやつはぜってぇ許さねぇぞ!」
「今さら何しに来やがった!」
「一度お嬢を捨てたんだろ!? もう今さら何を言っても無駄だ!! お嬢はお前みたいなやつのところにゃ帰らねぇ!!」
男たちはイリッシュを地面に押し付けて棒で叩く。
そのたびに彼は情けない悲鳴をあげていた。
「うぎゃっ、うひっ、うぎょほっ、うごほ、っくほ、うぎゃっ、うひっ、うひほっ、びょあっ」
王子は今、皆によって直接罰を与えられている――物理的に。
「思えば俺を島流しにしたのもお前だったよなぁ! いつかやり返してやるって思ってたんだ! いい機会だぜ!」
「王子は消え失せろ!」
「お前みたいなやついなくなった方が世のためだぜ! なんせ次々非のない人間を島流しにするようなやつだからなぁ。悪の中の悪だ! しかも権力は持ってるからなおさらややこしい……今ここで消えてもらう!」
こうしてイリッシュは暴力の嵐に呑み込まれたのだった。
――島を訪れた王子イリッシュとその従者の男は拘束された、そして山の近いところにある小屋につるされる。
「王子様よぉ、これからは毎日楽しませてやるからなぁ」
「や、やめろ! 解放しろ! 俺は悪くない、悪いことなんて何もしていない!」
イリッシュは涙ながらに主張するが、そんな言葉は誰の心にも響かない。
「従者もな。……おまけでな」
「こんなことをして! 罪だぞ!」
「知るかよ、ここに法はねぇ」
「ぐっ……」
こうして二人の――否、主にイリッシュの――地獄のような苦難の日々が幕開けるのであった。
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