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また春が来た。あれから何度目の春だろう? ~婚約破棄を越えて~
しおりを挟むまた春が来た。
あれから何度目の春だろう?
美しい春、愛おしい季節。
もう何度も繰り返した。
ずっと前の春、私は一度、その季節を嫌いになった。
それは、愛していた人に捨てられたからだった。他の女性に乗り換えるために婚約破棄されてしまったのだ。その時からしばらく、私は春を愛せなかった。
芽吹きの時期、始まりの季節、それすらも愛おしく思えなくなっていた――その時の私は。
けれどもあれから何度も季節は巡り、今私は、こうしてまた春を愛せるようになりつつある。
色々あったけれど、でも、やはり私はこの季節が好きだ。
強く、そう思う。
ちなみに、私を捨てた彼が酔っ払って石の階段から転落し死亡したのもまた春だった。
何かと春に縁のある人生だと思う。
◆終わり◆
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