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前編

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「ここに、勝利を宣言する!」

 高貴な家柄の娘であったリュシエラ・アルケは若き冒険者として国を救った。

 英雄となった彼女は、「これからも国を護ってほしい」と国王に頼まれ、彼の息子である王子と婚約することになったのだが……。


 ◆


「リュシエラ、君はもう必要なくなった」

 王子アイケルンはある日突然そう告げた。

 いきなりのことに眉をひそめるリュシエラ。

 だがアイケルンに迷いや躊躇はなくて。

「よって、婚約は破棄とする」

 その婚約破棄はアイケルンが勝手に決めたことであった。当然父である王に相談もしていない。だがアイケルンの心は決まりきっていて、親に相談するなどという発想はその時の彼にはなかった。

「そうですか、分かりました。では私はこれで」
「あぁ。そうしてくれ。さっさと城から出ていってくれ」
「はい、さようなら」

 こうして二人の婚約しているという関係は急に終わった。

 だがリュシエラは動じない。
 ただ冒険者に戻るだけだから。

 彼女は王子に言われた通り城を出ていった。
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