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後編
しおりを挟むその後、ロザリンオはリリィラと婚約した。
だがその関係はすぐに壊れた。というのも、リリィラが他にも男を作っていることが判明したのだ。しかも、リリィラの本命はどちらかというとそちらで、ロザリンオは金づるだったのだ。それによって、数ヶ月ももたず婚約は破棄となることとなる。
その件によってロザリンオは酷く絶望していたようで、以降、彼は誰も愛さなかった。
それどころか女性を目にすることすら嫌がるようになったらしく、侍女も近付けなくなったそうだ。
リリィラの裏切りはよほど彼の心を破壊したのだろう。
でも可哀想かといえばそうではない。
少なくとも私はそう思っている。
だって彼は自分の意思で私を切り捨ててまで彼女を取ったのだ、だからその責任は外の誰でもない彼自身にある。
リリィラの言葉がすべて真実であると思っていたこと、それが彼のあやまちだ。
もしもっと早く彼女が嘘つきであると気づいていれば。
そうすれば少しは何か変わっていたかもしれない。
でも彼にはそれができなかった、信じ込み過ぎてしまっていたから。
◆
――婚約破棄から数年が経って。
「そういえば、ロザリンオ王子、亡くなったんだってな」
「え、そうなの?」
「今朝ニュース出てたぞ」
私は今、資産家の息子であるゴットルと結婚し夫婦となっている。
彼と出会ったのはある庭園。
その日私たちはお互い庭を見に来ていて、たまたま出会って少し喋ったことがきっかけとなり知り合いとなった。
でもそれももうかなり前の話だ。
「事故とか?」
軽い気持ちで聞けば。
「恐らく自らだろうーって言われてたぞ」
彼は少し言いづらそうに答えてくれる。
「そう……」
「彼、心病み気味だったんだってな」
「そうね、そう聞いていたわ」
「じゃあ前からか……仕方ないところもあるな、少し」
ちなみにリリィラは既にこの世を去っている。
彼女は賊に誘拐されてそこで一年以上働かされ、その後、口封じのために殺められたのである。
確か前にその件もニュースになっていた。
……といっても、もう半年以上前の話だけれど。
◆終わり◆
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