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嫌がらせばかりしてきていた女性も、その嘘を信じ婚約破棄してきた王子も、その後災難に見舞われて不幸になったようです。(後編)

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 また、その事件から、国民の心は王族から急速に離れていくこととなる。

 というのも、王族らは自らが助かることに必死になるあまり民の命を軽んじるような行動に出たのだ――食糧の九割以上と国中の軍を王族のもとへ集め、一般市民を見捨てて城に立てこもるようになった。

 もはや彼らに統治する意思はなかった。

 武器はなく、魔獣に蹂躙されることしかできない民。また、運良く生き延びた者も、食糧不足によって次々死んでいくしかない。

 王都はもはや地獄絵図であった。

 想定外の出来事によって非常時に王族が一切役に立たないことが判明したことで民からは「王家廃止」を訴える声があがるようになり、やがてそのうねりは巨大なものへと成長してゆく――そしてある時ついに国民が立ち上がり城を猛攻撃、王家の者は殺されるか捕らえられるかしてしまうこととなった。

「王家終わったみたいね~」
「ま、いつかはそうなると思ってたわ」
「それな」
「王族結構無能の集まりみたいだったしね、べつにいてもいなくても一緒っしょ」
「その通り~」
「というより、田舎だからって無視するのやめろし」

 そんなことが起きていても、田舎町は今日も平和そのものである。

 これまであまりここに住んでいて得したことはなかった。
 でも今回は得できたと感じる。
 王都から遠い地域だったからこそあれだけのことが起こっても無事でいられたのだ。

 それに、この町は昔からずっと食料自給率が高い。なので食べる物に困ることもなかった。王家もさすがに完成していない食べ物までは集められなかったのだ。

 田舎町で良いこともあるのだ、と、今さらながら気づかされた出来事だった。

 ちなみにガルクはというと、ロメアもろとも激怒した民に捕らえられてしまったようで、その後民から復讐心を向けられ拷問まがいのことを数日にわたってされた果てに中央広場的な場所で公開処刑されてしまったようだ。
 一方ロメアはというと、殺されはしなかったものの、裏社会の人を売買する商人のところへ売り飛ばされてしまったそうで――落ちぶれた汚い世界で生きる外なくなってしまったようであった。


 ◆


「今日もいい天気だなぁ」

 あれから数年。
 私は親戚の紹介から良縁に恵まれ、穏やかな暮らしを手に入れることができた。

「そうね」
「こんな日はお昼寝したくなるね」

 夫は服飾系の大会社を営む男性の息子だ。

「お昼寝って……」
「駄目かな?」
「いいえ、貴方らしいと思うわ」
「そう! なら良かった」

 彼は少々おっとりした人。そこに悪質さはなく、清らかかつ善良だ。だから一緒にいても不愉快さはないし、むしろ、私が彼を支えようと思えるほどである。悪い意味でのおっとりではなく、可愛らしい、そんな印象の方が強い。


◆終わり◆
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