異世界恋愛作品集 ～さくっと読める!? 大変なことやややこしいことがあっても乗り越えて幸せを掴みます～

良き魔女エリミネレはその魔法の才を人助けのために使って生きてきた、が、彼女に消えてほしい婚約者らによって殺されてしまい……？

　良き魔女エリミネレはその魔法の才を人助けのために使って生きてきた。

　彼女は多くの人に慕われていた。
　ただ彼女を良く思わない者も中には存在した。

　自分たちにとってエリミネレの存在が邪魔だという――婚約者とその浮気相手とか。

「エリミネレ！　汚らわしい魔女め！　今日こそ死んでもらう！」
「リオン……」

　エリミネレと青年リオンは婚約していた。

　しかしリオンには他に愛している女性がいた。
　その女性、浮気相手の女性、その名はネーブルという。

「お前がいるせいでネーブルと結婚できないんだ！」
「そうよ、貴女が消えてくれれば……わたし、リオン様と一緒になれるの。わたしも彼も、何よりもそれを望んでいるわ」

　その日、リオンとネーブルは罪なきエリミネレを責めた。

「俺はネーブルだけを愛している！　だからお前なんて要らないんだ！　お前なんて、お前みたいな穢れた女なんて……この世から消え失せろ!!」
「そうよ！　わたしたちの真実の愛を邪魔しないで！　最低な魔女、一刻も早く消え失せなさいよ!!　クズ!!」

　二人は理不尽に暴言を吐き――その場でエリミネレを殺めた。

　刃物で刺し貫いたのだった。

「ああ、ついに、ついにやったな……！」
「ええ。これでようやく結婚できるわね。うふふ、嬉しいわ」

　リオンとネーブルが喜んでいた。

　だが、二人が歓喜できたのも、束の間だけであった。

　死の数日後エリミネレは蘇った。
　それも怨みを抱えた魔女エリミネレとして。

　怨みの魔女エリミネレは二人にどこまでもついてまわった。

　リオンは毎晩悪夢をみせられ、段々負い詰まって行き、罪のない婚約者をその手で殺したという罪の意識に苦しめられて壊れていって――やがて「魔女に殺される!!」と叫び家の二階から飛び降り、死亡した。

　一方のネーブルはというと、怨みの魔女エリミネレに呪いの魔法をかけられ、じわじわと苦しめられた果てに全身の骨を折られる。絶望のような苦痛、苦しみ、それを体感させられて。その果てに魔の炎に少しずつ燃やされて殺された。

　その後エリミネレは神の奇跡によって蘇った。

　その時の彼女はかつての穢れなき魔女に戻っていた。
　それからはまた穏やかに暮らし始めた。

　エリミネレはその力を使い、人々のために生きた。


◆終わり◆