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婚約者を掠め取った妹、地味だからと私を捨てた婚約者、二人とも結果的には幸せにはなれなかったようですね。(前編)
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「てか、さ。お前、ほんと地味過ぎんだよな」
その日は突然やって来た。
「ぱっとしねぇし、着てるもんさえ地味だしよ、あり得ねぇわ。お前みたいな女を嫁にしたら恥掻くこと間違いなしだわ。ってことで、婚約は破棄な!」
――婚約者リーズンに終わりを告げられる日。
「こ、婚約破棄!? 待って、どういう……」
「だ! か! ら! 言ったろ? 俺はもうお前と一緒にはいたくねぇんだよ。分かったか? 言葉の通り、ただそれだけの意味ってこった」
「でも、あまりにも急だわ」
言えば。
「うるせぇ!!」
鬼のような形相で睨まれてしまって。
「もういいだろ、解放してくれ。じゃあな。永遠に……さよなら」
こうして私はリーズンに切り捨てられてしまったのだった。
◆
その数日後、リーズンは、私の妹ニナとの婚約を発表した。
「お姉さま、捨てられてしまったことは気の毒でしたけれど……これからはわたくしの姉として、わたくしの幸せを見守っていてくださいね? ふふっ」
まさか妹に乗り換えたパターンだったとは。
それは想定していなかったのでかなり驚いた。
でも、既に決まってしまったことなので、私はそれを認め受け入れるしかなくて。
「お姉さまが選んでもらえなかったリーズン様に選ばれたからって、わたくしに対して嫉妬なんてしないようにしてくださるかしら? んふふ、お願いしますわね? 年増な姉の嫉妬なんて見苦しいですから……」
見下すような目で見られて。
「ま、お姉さまはお姉さまらしく、同じような価値の殿方を探すことですわね。口臭の酷いおじさまなんてどうかしら? そういった程度の男性であればきっとお姉さまのような地味女であっても選んでもらえ愛してもらえるはずですわ」
言葉でも馬鹿にされて。
「んっふふふぅ、ま、せいぜい頑張られてくださいなぁ」
それでも私には言い返す力なんてなくて。
ただ黙って傷つけられているしかなかった。
◆
その件について親友に相談したところ。
「何それ! 妹に乗り換えたの!? うっそ、サイッテー!」
親友が怒ってくれた。
「真面目なのがいいところなのに!」
「ごめん、無理にフォローさせてしまって」
「フォローじゃない! リリアには良いところがたっくさんあるの! 本当に! なのにそんなこと……酷すぎるよ。って、あ! いいこと思いついた!」
リリアというのは我が名である。
「いい男捕まえて、妹さんを見返してやれば!?」
「え」
「あたし協力するよ!」
「いやいやいや、無理でしょ、そんなの」
「もー! 無理じゃないってばー!」
「私はこんなだし、仕方ないのよ、地味なことは事実だし……」
見返してやること。
ある意味でも復讐。
私はそんなことは無理だと最初から諦めていたけれど、親友は諦めていなくて。
その日は突然やって来た。
「ぱっとしねぇし、着てるもんさえ地味だしよ、あり得ねぇわ。お前みたいな女を嫁にしたら恥掻くこと間違いなしだわ。ってことで、婚約は破棄な!」
――婚約者リーズンに終わりを告げられる日。
「こ、婚約破棄!? 待って、どういう……」
「だ! か! ら! 言ったろ? 俺はもうお前と一緒にはいたくねぇんだよ。分かったか? 言葉の通り、ただそれだけの意味ってこった」
「でも、あまりにも急だわ」
言えば。
「うるせぇ!!」
鬼のような形相で睨まれてしまって。
「もういいだろ、解放してくれ。じゃあな。永遠に……さよなら」
こうして私はリーズンに切り捨てられてしまったのだった。
◆
その数日後、リーズンは、私の妹ニナとの婚約を発表した。
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それは想定していなかったのでかなり驚いた。
でも、既に決まってしまったことなので、私はそれを認め受け入れるしかなくて。
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見下すような目で見られて。
「ま、お姉さまはお姉さまらしく、同じような価値の殿方を探すことですわね。口臭の酷いおじさまなんてどうかしら? そういった程度の男性であればきっとお姉さまのような地味女であっても選んでもらえ愛してもらえるはずですわ」
言葉でも馬鹿にされて。
「んっふふふぅ、ま、せいぜい頑張られてくださいなぁ」
それでも私には言い返す力なんてなくて。
ただ黙って傷つけられているしかなかった。
◆
その件について親友に相談したところ。
「何それ! 妹に乗り換えたの!? うっそ、サイッテー!」
親友が怒ってくれた。
「真面目なのがいいところなのに!」
「ごめん、無理にフォローさせてしまって」
「フォローじゃない! リリアには良いところがたっくさんあるの! 本当に! なのにそんなこと……酷すぎるよ。って、あ! いいこと思いついた!」
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「いい男捕まえて、妹さんを見返してやれば!?」
「え」
「あたし協力するよ!」
「いやいやいや、無理でしょ、そんなの」
「もー! 無理じゃないってばー!」
「私はこんなだし、仕方ないのよ、地味なことは事実だし……」
見返してやること。
ある意味でも復讐。
私はそんなことは無理だと最初から諦めていたけれど、親友は諦めていなくて。
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