異世界恋愛作品集 ~さくっと読める!? 大変なことやややこしいことがあっても乗り越えて幸せを掴みます~

四季

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もうちょっとひとやすみ? 詩のコーナー

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『とろけるような愛を』

今宵最後の夢をみさせて
歌をうたうように
舞い踊るように
軽やかでそれでいて深い
味わいの中ただ夢をみさせて

婚約は破棄
二人の時間はもうじき終わる
あの日笑顔で受け取った
婚約指輪も
幻に溶けて
記憶に溶けて
どろりと溶け去ってしまうのだから
最初で最後でいい
特別な夢をみさせてほしい

どうか……

とろけるような愛を

もう二度と会えなくても
この愛はごみ箱行きだとしても
それでもわたし
今宵だけはあなたと在りたいの
あなたの隣で
愛おしさを噛み締めて
この瞬間を永遠にする
この胸に刻み込むわ

指を絡めましょう
伝わる熱が
二人の最後を彩る
涙も
汗も
明日には消えてなくなっているのだから

どうか……

とろけるような愛を

一度だけの愛を
全身に浴びたい

今宵最後の夢をみさせて
歌をうたうように
舞い踊るように
軽やかでそれでいて深い
味わいの中ただ夢をみさせて

とろけるような愛を



『婚約破棄されまして』

あなたと出会ってから
たくさん嬉しいことがありました
たくさん楽しいこともありました
世界はこんなにも
希望の光に満ちているのだと
あなたに出会って気づいたのです
世界はとても色鮮やかで
まるで楽園のようなのだと
あなたに出会って知りました

けれど

このたび婚約破棄されまして

ああ 悲しいことですね

あなたを愛していたのに
あなたは愛していなかった
想いが重なることなどなかったのです
それは所詮幻想でした
甘い夢をみていただけで
結局心は重ならず
甘い甘いとろけるようなあの日々は
幻想なのだと知りました

もう 遅いのだけれど

このたび婚約破棄されまして

この世の色は
どこかへいってしまったようです
この世の花は
とうに枯れてしまったようですね

もう遅い
何もかもが

けれども前を向くのです
痛みも
苦しみも
すべてを越えて
そうやって生きてゆくのです
もう戻れないのなら
振り返る必要だってないでしょう?

婚約破棄されまして



『悲しみは人を強くするのね』

だから良かったなんて言えないし
だから感謝しているなんて言えないけれど
悲しみは人を強くするのだと
あなたのおかげで気づくことができたわ

あの時
あの夏の日
あなたが婚約破棄を告げて
心ない言葉までも紡いだ
意図してわたしの心を壊すかのように

そのことは許さないわ
けれどそれによって手に入れた強さもある
それは確かなことよ
そういう意味では
あの悲しみも必然だったのかもしれない……

だからといって
あなたの罪が消えるわけではないわ

ただそれでも
何か一つでも得たものがあったのだと思えれば
苦しみを越えてここまでやって来たことに
少しは意義があったと思えるから
無意味ではなかったのだと信じられるから

だからわたし繰り返すの
あの日々にも意味はあったのだと
そう思うために
そうよ
そう思いたいから

悲しみは人を強くするのね

あなたの心ない行動によって
その真実にたどり着いたわ
ありがとう
それは言わない
けれども
ある意味感謝できる部分はあるのかもしれないわね

だから良かったなんて言えないし
だから感謝しているなんて言えないけれど……

悲しみは人を強くするのね



『あなたの手を引いて』

突然告げられた婚約破棄に
驚き
戸惑い
ただ悲しんでいたわたしに
声をかけてくれたのはあなただった
柔らかな微笑み
包み込むような優しさ
そんなものを携えたあなたに
わたしは救われた
あなたがいてくれたから
あなたが現れてくれたから
わたしは未来を
そっと見つめることができたの
悲しみの先に
絶望の先に
希望があるのだと教えてくれたのはあなた

だからね
いつの日か恩返しがしたいの

あの日救ってくれてありがとう
もう何度も言ったけれど
それだけではどうしても足りない気がして

寄り添っていてくれてありがとう
いつも繰り返すけれど
それだけではどうしても足りない気がするから

あなたの手を引いて

光へと駆け出したい

あなたとならばきっと
どこへだって行けるでしょう

あなたの手を引いて

明日へと駆け出したい

あなたとならばきっと
どんなところへたどり着いても怖くはない
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