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5話「これはこれであり」

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 ボボレに連れられて魔族の国で暮らし始めて数日。
 今はとても穏やかに暮らせている。

 強制的に結婚させられるかと思っていたが案外そんなことはなくて。私には部屋が与えられ、平穏を与えてもらえた。私用の部屋には世話係がいて、お茶を飲ませてくれたり本や贈り物を与えてくれたりする。

 また、ボボレも時折訪ねてくる。

 彼は私の心を開かせようと努力してくれているみたいで、会いに来ては、色々な楽しさを提供してくれるのだ。

「この本が好きか?」
「はい」
「ふううぅむ……確かに面白そうだな」

 今日は私が気に入っている本を二人で読んでいる。

 いい年した二人が仲良く本を読んでいるというのは、もしかしたら、不自然な光景に見えるかもしれない。

 けれども私は嫌だとは思っていない。
 これはこれでありだと感じている。

「この場面が興味深くて。どうしてこんな風に考えたんだろう、って……」
「オォ、確かにな」
「不思議だと思いません?」
「うむ。そうだな」
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