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酔っ払った婚約者が女と二人で寄りかかり合いながら歩いているところにたまたま出くわしてしまった私は……。
しおりを挟む酔っ払った婚約者が女と二人で寄りかかり合いながら歩いているところにたまたま出くわしてしまった私は、それについて文句を言ったところなぜが婚約破棄を告げられてしまい――今に至っている。
河川敷のベンチで一人。
夜風を浴びながら溜め息をこぼす。
……私は何をしているのだろう。
悪いのは彼ではないの? 酔っ払っているとはいえあんな風に異性と近づいて。それを見られて、何か言われたからって婚約破棄を宣言するなんて、身勝手過ぎやしないか? こちらが意見を言ったことも悪かったのかもしれないけれど、でも、あんな風な光景を見せられたら文句の一つも言いたくなるものだ。男性は平気かもしれないが、女性側からすればああいうのはあまり嬉しい光景ではない。
男性は皆彼と同じように「お前の心が狭いのが悪い!」と言うのだろうけれど。
自分がおかしなことをしていることの方が問題ではないのか、とどうしても思ってしまうのだが……それを理解してもらうのは無理、か。
――その時、ふと、空を見上げて。
「あ、流れ星」
暗い空を駆ける星。
意味もなく『幸せになれますように』なんて願った。
◆
翌朝、親と一緒に住んでいる家の庭から、埋蔵金が発掘された。
そして私と両親は一気に大金持ちになった。
あの時、辛い心で星に願ったこと――それが叶ったのかもしれない。
婚約破棄は辛かった。
悲しかったし消えてしまいたいくらいの思いもあって。
でも、あそこで死ななくて良かった。
こんな未来が待っているのなら生きていて良かったと、今はそう強く思える。
すべてが変わった。だからもう婚約破棄なんてどうでもいい。私はこの道を歩く。愛はなくとも金はある、そんな道を。それもまた幸福であり、それもまた人生だ。
奇跡によって幕開けた新しい人生、これからはその道を辿って歩いてゆくのだ。
◆終わり◆
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