私は必ず復讐します、我が心を傷つけた者たちを絶対に許しはしません。

四季

文字の大きさ
上 下
1 / 2

前編

しおりを挟む

「今夜だけ、夢をみせて」

 暗闇で囁く女の声。

「もちろん」

 返すのは男の声。

 そして二つはやがて溶けあう。

 夜の闇にこだました愛。
 絡み合う白が暗がりに消えた。


 ◆


「ごめん、妹さんと一線を越えちゃった」

 婚約者モーロ・アドルフットはある日突然そんなことを言ってきた。

「え?」

 この時の私はきっととんでもない顔をしていたと思う。

 あまりにも唐突で。
 あまりにも驚きで。

 綺麗な表情を作る余裕なんてなかった。

「だから、君との婚約は破棄する」
「え、いや……え……?」
「責任を取って、妹さんと結婚するよ」

 モーロは無責任にそんなことを言った。

「待って。じゃあ私は? 私はどうなるっていうの? 捨てるの?」
「ああ、そうなる。でもこれは責任感の問題なんだ。このまま君と結婚したら妹さんはきっと傷つくだろう。だから僕は君との関係を終わらせて妹さんと共に生きるんだ」

 もっともらしいことをぺらぺらと話すモーロ。
 でもその内容は私には到底許容できないようなものだ。

「何を言っているの?」
「まだ何か不満があるのかい」
「おかしいじゃない、その話。私の心はどうなるっていうのよ」

 思っていたことを言ってやれば。

「心? はは。そんなのはどうでもいいじゃないか。心なんてべつにどうとでもなるし、それに、君はべつにそういう感じじゃないから傷つかないだろ? 何を急に繊細アピールしてるんだい? 面白いなぁ」

 彼は平然とそんなことを言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

懲りずに何度も繰り返す〜さすがにもう許せませんよ〜

四季
恋愛
何度同じことを繰り返すつもりですか? 何度でも許されると思っていたのですか?

乗せられなければ死なずに済んだでしょうに……悲しいことです

四季
恋愛
エリカ・ミレニアムには、幼いうちに家の都合で婚約した婚約者がいた。 二人は仲良かったのだけれど……。

一度は婚約してくれと頼んできておいて、それなのに、そんなことをするのですね

四季
恋愛
ボツニドに頼まれ婚約したアルカだったのだが……。

婚約破棄するんだったら、その代わりに復讐してもいいですか?

tartan321
恋愛
ちょっとした腹いせに、復讐しちゃおうかな? 「パミーナ!君との婚約を破棄する!」 あなたに捧げた愛と時間とお金……ああっ、もう許せない!私、あなたに復讐したいです!あなたの秘密、結構知っているんですよ?ばらしたら、国が崩壊しちゃうかな? 隣国に行ったら、そこには新たな婚約者の姫様がいた。さあ、次はどうしようか?

婚約者が女好きでどうしようもないので、私は去ります

四季
恋愛
アメリナ・レジンには婚約者がいる。 彼は、学生時代同級生であり、似たような家柄の人物だ。 ただ、彼には問題があって……。

皆が憧れる彼の婚約者だった時代がありました

四季
恋愛
私がまだ二十歳だった頃、婚約者がいました。

舐めきった態度、許されません!

四季
恋愛
先日二十歳の誕生日を迎えた資産家の娘リーナ・フルベルン。 彼女には今、ある悩みがあって……。

【完結】婚約破棄されたので、全力で応援することにしました。ふふっ、幸せになってくださいね。~真実の愛を貫く代償~

新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。 1作品数話(5000文字程度)の予定です。

処理中です...