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1話
しおりを挟む婚約者アーベライは非常に高圧的な人で常に私を見下していた。
ことあるごとに嫌みを言ってくる、二人になると急に身体をぶち当ててくるなどの暴力を始める、などなど――とにかくただひたすらに虐めてくるような人だった。
しかもそんなことをして困っている私を見て笑うのだ。
血も涙もない人間、いや、非人間――失礼かもしれないがそう思ってしまうような人間だ、彼は。
だが、そんな状態で迎えたあるありふれた日、アーベライの親友である青年ノトレットが私の身体のあざに気づいてくれて。
「これはアーベライに何かされたの!?」
ノトレットは私の味方をしてくれた。
でも一歩踏み出す勇気はなくて。
どうしても、勇気を持って行動することを躊躇ってしまう。
ただ、ノトレットは、そんな私のことも見捨てはしなくて。
「駄目だよ、黙っていたら! こんな目に遭わされて黙っているなんて婚約者同士だとしてもおかしいよ!」
まだ立ち止まっている私の背を押そうとしてくれた。
「いいんです、私は嫌われていますので……」
「良くないって!」
その口から出る言葉は力強いもので。
「……なぜそのようなことを言ってくださるのですか」
「当たり前のことだからだよ! 君は大人しくしていなくっちゃって思っているかもしれないけれどそれはコントロールされてるだけだよ」
「でも……」
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