すみれ咲くあの丘で

四季

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すみれ咲くあの丘で

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すみれ咲くあの丘で
わたし見てしまったの
あなたが浮気をしているところ
あなたが他の女性といちゃついているところを

それからもう
あなたを信じられなくなってしまって
どこかへ出掛ける
そう聞くだけでも
ああまたああいうことか
そんな風に思ってしまうくらい
この心は荒んでしまった

すみれ咲くあの丘で
あなたは終わりを告げてきたわね
その顔に罪の意識はなくて
あなたは驚くくらい澄んだ瞳をしていた

もう終わりにしよう
そう述べる時の唇
どこまでも嬉しげで
どこまでも辛くなさげだった

だから辛かったわ
わたし
もうずっと前から必要とされていなかったのだと
そう感じて
そう気づいて
それと同時に怒り憎しみも生まれて
あなたのことを愛することはできない
そう確信した

わたしの心は折られた

わたしの心は捻り潰された

そして残ったのは
あなたへの怨みだけ

ここまで残酷になれるものか人はと
そう思いながらも
もはや湧き上がるものを抑える方法などなく

――終わらせてあげる、この手で。

すみれ咲くあの丘で
あなたを背後から襲って
かつて愛し合ったこの手で剣を握り
あなたに突き立てる

それがわたしからの別れの言葉

それがわたしからのさよなら
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