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episode.139 皆で過ごせる今を
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燃え盛るような熱が皮膚を焼くような剣のキャッスル。
そこでは剣のプリンセスが剣を振っていた。
他者が見ればどう見ても訓練のように見えるだろう――いや、素振りとて訓練ではあるわけだが――ただ、剣のプリンセスにとっては、素振りとは己と向き合いつつ心を静める時間である。
そんな彼女のもとへ通信が。
『剣のプリンセス、調子はどうですか?』
唐突に連絡してきたのは杖のプリンセスだった。
「元気ですよ! 今は素振り中で!」
平和を取り戻してもまたすぐに戦いに備えている剣のプリンセスが面白く思えたのか、杖のプリンセスは控えめながら笑みをこぼした。
『それは……相変わらずですね』
「はい! ま、いつも通りって感じです」
こうして通話している時でさえ、剣のプリンセスは相棒を振ることをやめなかった。
『元気そうで安心しました』
「そちらはどうです?」
『こちらですか? もちろん健康に生活しています。大きな変化は特になく、戦いも起こらず、平和そのものです』
杖のプリンセスのその言葉を聞いた剣のプリンセスは、晴れやかな笑顔で「なら良かったです!」と発した。
◆
愛のキャッスルで穏やかな海のような時間を過ごしていた愛のプリンセスは、ほわぁとあくびをしてから手の甲で軽く目もとを擦る。あくびによって目もとに発生した涙を拭ったのだ。
ちょうどそのタイミングで通信が入り、彼女は驚きを描くような目をぱちぱちさせてから対応した。
『よ』
第一声はそれだった。
声の主、連絡してきたのは、海のプリンス。
「あ! 海プリさんですね!」
愛のプリンセスは嬉しそうに表情を晴らす。
『そーそー』
「アイアイに何か用ですかー?」
『いや、べつに』
「ええー!? 用でないのに連絡するんですかー!?」
愛のプリンセスは開いた両手を顔の前辺りにおいて驚きの色を露わにする。
対する海のプリンスはさりげなく唇を尖らせた。
『ったく、うるせーな。いいだろ、連絡するくらい』
「あ、はい! はいはいっ! 大丈夫ですよっ」
愛のキャッスルも海のキャッスルも今は平和そのものだ。いや、そもそも、現在は明確な敵は存在しない。それゆえ、何者かが攻めてくる可能性は無に近いとも言えるほど。絶対にないとは誰にも言えないだろうが、ほぼないとは言えるだろう。そんな前提もあり、皆心穏やかに生を謳歌できているのである。
「で、何のお話をしますかー?」
『暇じゃね?』
「ふぇ? ……ひ、暇? ですか?」
『そ』
「それは、まぁ……確かに、戦いはあまりー……ないですね。でもでも、それって、良いこと、ですよ……?」
『ま、そうだけどさぁ。することねーし、ずーっと海眺めてるだけだし、暇だわ』
海のプリンスは言いたいことを飲み込みはしない。堂々と話し続ける。思ったことを口にすることをやめはしないのだ。
「海プリさん……。わ、分かりました! じゃあ! アイアイが考えまっす!」
うー、うー、と言葉になりきらない声を伸ばしつつ愛のプリンセスは思考する。
そして。
目をぱっちり開いた。
「そっだ! 皆でお茶会なんてどうです? 楽しそう! せっかく平和になったんですしー、今まであまりできなかったことをしたいですよねっ!」
海のプリンスは『は? 何だそれ』と言っていたが、愛のプリンセスの耳にはそんな声は届いていない。
「海プリさんも参加してくれますよね!?」
『待てよ』
「してくれますよね!? ――さ! ん! か!」
『待てって、落ち着けって』
「海プリさん暇なんですよね? だったら参加できるはずですっ、ぜひ! 話がまとまったら伝えますからー、参加してくださいねっ!!」
愛のプリンセスはハイテンションになっていた。
皆に連絡したい!
早くこの企画の話を広めたい!
今や愛のプリンセスはそんなことしか考えることができない状態となっている。
「ではは! 海プリさん! 暫しお待ちくださいっ」
愛のプリンセスは一方的に通信を切断した。
その後彼女はプリンセス・プリンスらへ連絡することを開始する。
◆
『フレレ! 皆でお茶会をする企画に参加してくれませんかっ』
「え……」
今は盾のプリンスと共にクイーンズキャッスルで話をしていたのだが、そこへ愛のプリンセスから通信が入った。
通信が入ると少しぴくりとしてしまうこともある。
何か、事件か、敵襲か――そんなことを思ってしまうのだ。
けれどもそんなものは杞憂でしかなく。
『参加は嫌ですかっ?』
「いえべつにそういうことは……ですが、それは一体何の催し物なのですか? これまではそのような会はなかったですよね。皆でお茶会、だなんて……」
事件でも、敵襲でも、なかった。
意外なお誘いだった。
『今さっきアイアイが思いついたんですっ!』
「思いつき、というやつですか?」
『はい! そうそうなのなのです!』
私は隣にいる盾のプリンスと顔を見合わせる。
「クイーンは参加するといい。私は帰りを待っているから」
彼はさらりとそう言った。
「待ってください。皆で、なら、貴方も参加することになると思います」
「いや、私は欠席する」
「盾のプリンスさん……そんなに参加したくないのですか?」
「あまり興味がない」
「私は貴方と一緒に参加したいです」
困り顔になる盾のプリンス。
彼は暫しその顔のままでいたが、やがて、僅かに頬を緩める。
「そうか。なら……参加しようと思う」
◆
愛のプリンセスが言い出した皆でのお茶会は実現した。
「皆さーっん! 今日はご参加ありがとうございまーすっ!!」
会場はクイーンズキャッスル。
お茶をするための道具は主に森のプリンセスが持ってきてくれた。
「フレレ! 場所をありがとうございましたっ」
「いえいえ」
今日は全員揃った。
お茶会が始まる。
そこでは剣のプリンセスが剣を振っていた。
他者が見ればどう見ても訓練のように見えるだろう――いや、素振りとて訓練ではあるわけだが――ただ、剣のプリンセスにとっては、素振りとは己と向き合いつつ心を静める時間である。
そんな彼女のもとへ通信が。
『剣のプリンセス、調子はどうですか?』
唐突に連絡してきたのは杖のプリンセスだった。
「元気ですよ! 今は素振り中で!」
平和を取り戻してもまたすぐに戦いに備えている剣のプリンセスが面白く思えたのか、杖のプリンセスは控えめながら笑みをこぼした。
『それは……相変わらずですね』
「はい! ま、いつも通りって感じです」
こうして通話している時でさえ、剣のプリンセスは相棒を振ることをやめなかった。
『元気そうで安心しました』
「そちらはどうです?」
『こちらですか? もちろん健康に生活しています。大きな変化は特になく、戦いも起こらず、平和そのものです』
杖のプリンセスのその言葉を聞いた剣のプリンセスは、晴れやかな笑顔で「なら良かったです!」と発した。
◆
愛のキャッスルで穏やかな海のような時間を過ごしていた愛のプリンセスは、ほわぁとあくびをしてから手の甲で軽く目もとを擦る。あくびによって目もとに発生した涙を拭ったのだ。
ちょうどそのタイミングで通信が入り、彼女は驚きを描くような目をぱちぱちさせてから対応した。
『よ』
第一声はそれだった。
声の主、連絡してきたのは、海のプリンス。
「あ! 海プリさんですね!」
愛のプリンセスは嬉しそうに表情を晴らす。
『そーそー』
「アイアイに何か用ですかー?」
『いや、べつに』
「ええー!? 用でないのに連絡するんですかー!?」
愛のプリンセスは開いた両手を顔の前辺りにおいて驚きの色を露わにする。
対する海のプリンスはさりげなく唇を尖らせた。
『ったく、うるせーな。いいだろ、連絡するくらい』
「あ、はい! はいはいっ! 大丈夫ですよっ」
愛のキャッスルも海のキャッスルも今は平和そのものだ。いや、そもそも、現在は明確な敵は存在しない。それゆえ、何者かが攻めてくる可能性は無に近いとも言えるほど。絶対にないとは誰にも言えないだろうが、ほぼないとは言えるだろう。そんな前提もあり、皆心穏やかに生を謳歌できているのである。
「で、何のお話をしますかー?」
『暇じゃね?』
「ふぇ? ……ひ、暇? ですか?」
『そ』
「それは、まぁ……確かに、戦いはあまりー……ないですね。でもでも、それって、良いこと、ですよ……?」
『ま、そうだけどさぁ。することねーし、ずーっと海眺めてるだけだし、暇だわ』
海のプリンスは言いたいことを飲み込みはしない。堂々と話し続ける。思ったことを口にすることをやめはしないのだ。
「海プリさん……。わ、分かりました! じゃあ! アイアイが考えまっす!」
うー、うー、と言葉になりきらない声を伸ばしつつ愛のプリンセスは思考する。
そして。
目をぱっちり開いた。
「そっだ! 皆でお茶会なんてどうです? 楽しそう! せっかく平和になったんですしー、今まであまりできなかったことをしたいですよねっ!」
海のプリンスは『は? 何だそれ』と言っていたが、愛のプリンセスの耳にはそんな声は届いていない。
「海プリさんも参加してくれますよね!?」
『待てよ』
「してくれますよね!? ――さ! ん! か!」
『待てって、落ち着けって』
「海プリさん暇なんですよね? だったら参加できるはずですっ、ぜひ! 話がまとまったら伝えますからー、参加してくださいねっ!!」
愛のプリンセスはハイテンションになっていた。
皆に連絡したい!
早くこの企画の話を広めたい!
今や愛のプリンセスはそんなことしか考えることができない状態となっている。
「ではは! 海プリさん! 暫しお待ちくださいっ」
愛のプリンセスは一方的に通信を切断した。
その後彼女はプリンセス・プリンスらへ連絡することを開始する。
◆
『フレレ! 皆でお茶会をする企画に参加してくれませんかっ』
「え……」
今は盾のプリンスと共にクイーンズキャッスルで話をしていたのだが、そこへ愛のプリンセスから通信が入った。
通信が入ると少しぴくりとしてしまうこともある。
何か、事件か、敵襲か――そんなことを思ってしまうのだ。
けれどもそんなものは杞憂でしかなく。
『参加は嫌ですかっ?』
「いえべつにそういうことは……ですが、それは一体何の催し物なのですか? これまではそのような会はなかったですよね。皆でお茶会、だなんて……」
事件でも、敵襲でも、なかった。
意外なお誘いだった。
『今さっきアイアイが思いついたんですっ!』
「思いつき、というやつですか?」
『はい! そうそうなのなのです!』
私は隣にいる盾のプリンスと顔を見合わせる。
「クイーンは参加するといい。私は帰りを待っているから」
彼はさらりとそう言った。
「待ってください。皆で、なら、貴方も参加することになると思います」
「いや、私は欠席する」
「盾のプリンスさん……そんなに参加したくないのですか?」
「あまり興味がない」
「私は貴方と一緒に参加したいです」
困り顔になる盾のプリンス。
彼は暫しその顔のままでいたが、やがて、僅かに頬を緩める。
「そうか。なら……参加しようと思う」
◆
愛のプリンセスが言い出した皆でのお茶会は実現した。
「皆さーっん! 今日はご参加ありがとうございまーすっ!!」
会場はクイーンズキャッスル。
お茶をするための道具は主に森のプリンセスが持ってきてくれた。
「フレレ! 場所をありがとうございましたっ」
「いえいえ」
今日は全員揃った。
お茶会が始まる。
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