上 下
3 / 3

3話

しおりを挟む

 ただ、そもそもの引き金を引いたのは彼のほうだ。
 彼が身勝手なことをしたから、嘘をついてまで浮気したから、こんなことになったのだ。

 だからこの破壊は私のせいで生まれたものではない。

 私はただ裁きを下しただけ。
 当然のことを淡々と行っただけだ。


 ◆


 あの事件から数年、私は今、この国で最も注目されている魔法使いになっている。

 なぜ魔法使い? そう思われただろうか。だとしたら正解だ。というのも、私にはもともと魔法の才などなかった。しかし目覚めたのだ、力が。どういうこと? それは説明できる、少し不思議な話ではあるけれど。ビランチェとの件で色々苦労した後、突如として魔法の才が芽生えたのだ。最初は暮らしの中での小さな違和感から始まって。気づけばそれは大きく膨らんでいて、いつしか私は魔法使いとなっていた。膨らんだ魔法の才は、発動する魔法を自分でコントロールできるまでになっていたのである。おかしな話? そう思う、自分でも。ただ、嘘ではないのだ。この話は本当の話なのだ。こんな馬鹿げた嘘まる出しみたいな嘘をつくと思うか? 子どもではないのだから普通そんなことはしないだろう、いい年して。

 そうして、突如与えられた魔法の才により、私は称賛も地位も名誉も手に入れることができた。

 一方でビランチェはというと、私がいなくなった後あの女と付き合い始めるもすぐに喧嘩が多発するようになってしまって二ヶ月も経たないうちに破局したそうだ。
 また、別れ話の際ビランチェは女から何度も殴られてしまい、顔面に二度と癒えることのない傷を負うこととなってしまったようだ。


◆終わり◆
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

薬屋の一人娘、理不尽に婚約破棄されるも……

四季
恋愛
薬屋の一人娘エアリー・エメラルドは新興領地持ちの家の息子であるカイエル・トパーヅと婚約した。 しかし今、カイエルの心は、エアリーには向いておらず……。

絶世の美女オフィーリア、復讐する

四季
恋愛
絶世の美女オフィーリアは婚約者から理不尽に拒まれた。 そんな彼女の復讐とは……?

私は必ず復讐します、我が心を傷つけた者たちを絶対に許しはしません。

四季
恋愛
私は必ず復讐します。 我が心を傷つけた者たちを絶対に許しはしません。

それは母の過去の話です。~彼女はかつて婚約者の母親にはめられ婚約破棄されてしまったのです~

四季
恋愛
それは母の過去の話です。 彼女はかつて婚約者の母親にはめられ婚約破棄されてしまったのです。

失礼な人のことはさすがに許せません

四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」 それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。 ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。

[完結]本当にバカね

シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。 この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。 貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。 入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。 私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。

婚約者の様子がおかしい。明らかに不自然。そんな時、知り合いから、ある情報を得まして……?

四季
恋愛
婚約者の様子がおかしい。 明らかに不自然。 ※展開上、一部汚い描写などがあります。ご了承ください。m(_ _)m

舐めきった態度、許されません!

四季
恋愛
先日二十歳の誕生日を迎えた資産家の娘リーナ・フルベルン。 彼女には今、ある悩みがあって……。

処理中です...