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後編
しおりを挟む「あのお姉ちゃん強いな、やるな」
「すげえ」
「おおー、かっけーな」
「男の方も弱くはないが、女がなかなかの手練れだからな……どうなるかまだ分からん」
――そしてやがて決着がつく。
「お姉ちゃんの勝ちか!」
我が剣の先がアダフの喉もとに迫り止まる。
つまりそれは私の勝利と同じ意味である。
「ぐ……」
「もういいかしら」
「く、そ……こんなことになる、とは……」
「私の勝ちね?」
問えば。
「……し、仕方ない、か」
彼はようやく負けを認めた。
「すげえ! やりやがった! 姉ちゃんの勝ちだ!」
「嘘だろぉ!?」
「信じらんねぇけどがちで勝ったのか、つえー」
「良い意味でやばい女だな」
冒険者として鍛えてきた剣の腕がようやく役に立った。
「ミレナ様かっこい~ぃ~!」
「きゃあああ! 好きいいいい! 好きよおおおおお!」
「素晴らしいわぁ神ねぇ」
「結婚してください王子様ぁー!」
こうして私が勝ち、婚約は破棄となった。
その後私は再び冒険者として働き始め、そこで成果を出し、やがて国王より直接表彰されるまでになった。
人々はそんな私を『戦女神』と呼び愛してくれた。
そう、私は、アダフだけは失ったけれどそれ以外には何も失ってはいなかったのだ。
国のために戦い、皆から愛される――そんな私になれたことは私にとって何より嬉しいことだ。
誰かの力になれている。
そう思えるだけでぱあっと心が明るくなるものである。
一方アダフはというと、愛していた女性から「決闘に負けたうえ婚約破棄される男とかないわー、無理」と言われ縁を切られてしまったそうで、酷く落ち込み心を病んでしまったそうだ。
また、彼に対しては、世の人たちからの馬鹿にするような声もあったようで――街で見知らぬ人から「よっ情けない男」などと挨拶されることもあったらしく、それがまた彼の心をより壊していったみたいだ。
ただ、すべての原因は彼の浮気にある。
だから彼がその結果どうなってしまったとしても同情はしない。
◆終わり◆
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