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後編
しおりを挟む私が勝てば、リリィには全裸で王都を三周してもらう。
リリィが勝てば、私はコルシリオとの婚約を破棄とすることを受け入れる。
そういう話だ。
だがこの勝負、圧倒的に私の方が有利。
なぜなら私は魔法がとても得意!
正直、負ける気がしない。
◆
決闘の日、リリィは気合いを入れておしゃれしてきていた。
確かに服は可愛い。でも良いのか? そんな舐めたことをしていて。悪いがこちらは本気で行かせてもらう、だから勝負服を着てきた。地味? ぱっとしない? おしゃれじゃない? ……何とでも言っていればいい。この服こそが、戦いに、決闘に、最も相応しい服なのだ。この衣装が我が魔法を一番輝かせてくれる。
「わたくしから参りますわ!」
「どうぞ、いつでも」
――決闘はほんの数秒で終わった。
私の勝ちだ。
我が火炎魔法により、リリィは衣服だけを燃やされ服を失ってしまった。そして彼女は号泣し戦闘不能に。ほんの数秒、短い時間で、決闘の結果は出た。
「では約束通り、頼みますねリリィさん」
「うっ……ふ、ふざけないで! あんなの言っただけだから! 裸で歩く? そんなこと絶対にしないっ!」
「約束は約束ですよ、破るのですか?」
「……や、やればいいんでしょ! やれば!」
「ええ、そうです。だってそういう話でしたから」
リリィは約束通り服を着ず街を歩いたが、その最中不審なおじさんに誘拐され行方不明となった。
そして、その後、私はコルシリオとの婚約を破棄した。
彼は「リリィとは遊びだってば~」とか「本当に好きなのは君だけなんだよぉ~」とか言っていたけれど、聞かず、関係を解消した。
女をあそこまでその気にさせるような人とは夫婦として関わっていきたくないから、それが理由だ。
その後コルシリオは婚約破棄された件で社会的に死んだ。
ああすっきりした~。
◆終わり◆
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