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前編
しおりを挟む婚約破棄された翌日、朝起きたら鳥になっていた。
しかも普通の鳥ではなく伝説の幻鳥である。
この国に言い伝えとして残っている存在。
それに私がなっていたのだ。
乗っ取られたのか、変身したのか、もはや何が何だかよく分からないが……。
ただ一つ確かなことがあるとすれば、それは、私が人間の女ではなくなったということだ。
とはいえ、姿が変わってしまった以上どうしようもない。
それ以上私にできることなんてないのだ。
だから私はのんびりと暮らすことにした。
その時一番したいことがそれだったのだ。
それからは毎日のように空を飛んだり木の実をついばんだりと気ままに暮らした。小鳥なら獣に襲われることもあるだろうが巨大な鳥ゆえそのような経験をすることもない。また、幸いなことに両親は事情を理解して受け入れてくれていたので、帰ることのできる場所もあった。それも幸運だった。住む場所があり行動の自由があるなら生きていくうえで困ることは何もないのである。
ああ、こういう生活もいいなぁ。
今は心の底からそう思えている。
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