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後編

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 ◆


 婚約破棄された悲しみの日から数度目の夏がやって来た。

 私は先月王子と結婚した。
 結ばれる色々あった、が、基本的には彼との道のりは穏やかで順調なものであった。

 私たちの関係は今も良好。

 王子は今も私を深く愛してくれている。そして私も今では彼を想っている。きっかけを持ってきたくれたのは彼だったけれど、次第に私の心も追いついていって。おかげで今ではお互いに愛し合えている。

 これからも手を取り合い思いやりを持って歩んでゆけたら、そう思う。

 ああ、そうそう。

 元婚約者とあの時嫌みを言ってきていた女だが、噂によれば不幸な結末を迎えたようだ。

 二人はあの後結ばれようとしたようだが、両家より反対を受け、祝福されて結婚することはできなくなってしまったそう。だがそれでも結婚したいからと二人は親族から離れることを決めたようだ。二人生まれ育った地を離れて生きることを選んだのである。

 ただ、二人で暮らし始めて一ヶ月も経たないうちに女にもう一人男がいたことが発覚し、それで大喧嘩になってしまって。

 激昂した元婚約者は女を殺してしまったそうだ。

 だが彼は、その直後、女が作っていたもう一人の男に殴られる――そして彼もまた死亡してしまった。

 そう、つまり、二人とも一夜にして亡くなってしまったのである。


◆終わり◆
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