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後編

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 一度は王子の婚約者となった私だが、彼の声によって婚約は破棄となり、城を出ていくこととなってしまった。

 本当は何か言い返したいところだけれど。
 ああ言われてしまってはどうしようもない。

 秀でているところがないことは事実だし……。

 とはいえ私はまだ幸運な方だ。だって帰る場所がある。実家、そこへ帰れば両親が迎えてくれるだろう。婚約破棄された情けない娘でも、あの両親なら温かく受け入れてくれるはずだ。

「ただいま」
「え!? どうして!?」

 急に帰ったので母親を驚かせてしまった。

「婚約破棄されたの」
「えええ!」

 本当のことを告げるとさらに驚かれる。

 でも仕方ない。
 嘘はつけない。

「とにかく……入って。それから話を聞くわね」
「ありがとう母さん」

 事情を説明し、再び親と暮らすことになった。


 ◆


 あれから一ヶ月、王子フィルセルの訃報が国民向けに出された。
 訃報の内容上は急死となっているが。
 関係者から出たとされるとある噂が流れてくる。

 その噂によれば、ベッドにて、こっそり深い仲になっていたお気に入りの侍女の上に覆い被さるようにして亡くなっていたそうだ。

 その侍女が実は刺客だったらしい。

 王子と深い仲になることで彼の懐へ潜り込み、殺害したとのことだ。


◆終わり◆
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