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前編

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 私はこの国を治める若き国王の妻だった。
 けれども夫は浮気が酷く。
 一夫多妻制ではないというのに、何度も何度も、私ではない女性と深い交流をすることを繰り返した。

 これまでは我慢してきた。
 けれどもさすがにもう十五回目だ。
 我慢にも限界というものがある。

 そう思い、夫に対して控えめながら意見を少し述べてみたところ、夫は激怒した。

「お前! 国王たる俺に何ということを! ああそうか分かった、ならもういい、理解してくれないのならお前なんぞ必要ない……お前とは離婚だ!!」

 結果、私は切り捨てられた。

 これでも数年間妻として彼のために生きてきた。彼の仕事が上手くいくようにと日々支えてきたし、できることはしてきた。だから少しは情を持ってくれているものかと思っていたが、そんなことはなかったみたいだ。彼にとって私とは都合の良い存在だったのかもしれない。ただの駒、使えないなら要らない――その程度だったのかもしれない、私が力になれていると思っていただけで。

 こうして私たちは離婚することとなった。
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