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6話「お湯に浸かって寛げば」
しおりを挟む「入浴はこちらで行ってください、既に準備は済んでおります」
侍女に言われて向かった先にあったのは大浴場――いや、厳密には大浴場ではなく、広い個人向け風呂である。
「お風呂……!」
「入られたことはありますか?」
侍女は尋ねてくる。
「はい! 日本にも風呂文化は結構あるんです!」
答えれば。
「それは良かった」
そんな風に返してくれた。
それから自力で身体を流し、早速お湯に浸かる。
「ふわあああ、たまらんぅぅぅぅーー~~」
温度はやや低め。
しかしその方が私としてはありがたかった。
熱いお湯は苦手だから、である。
このくらいの熱さがちょうどいいんだよなぁ、なんて思いながらお湯に浸かる。
しかも、このお湯、とても良い香りがする。
それこそ柑橘系みたいな香り。
心の奥底からすっきりさせてくれるような、そんな匂いだ。
「お疲れ様でした」
「とても良いお湯でした、ありがとうございました」
あがってから侍女にお湯に香りについて聞いてみたら、入浴剤のようなものを入れていたのだと判明した。
だからこそのあの良い香りか、納得だ。
◆
あれから二週間ほどが過ぎた。
ここでの生活にも段々慣れてきて、丁重にもてなしてもらっていることもあってそれほど困ってはいない。
「朝食お持ちしました!」
「あ、今日もありがとうございます」
いつも朝食を持ってきてくれるのは明るくて若い侍女だ。
彼女はとても可愛らしい人だ。
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それはまるで魔法みたいで。
そして、また、真っ直ぐな明るさというのは才能だなぁとも思う。
「ああ……! これ、前にいただいて美味しかったやつです……! 良いのですか? 本当に、これをいただいて」
「はい、もちろん!」
「ありがとう、嬉しいです! ではいただきますね」
「回収が必要になりましたらお伝えください! いつでも問題ありませんので」
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