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「アッフォガート家の双子と聞いていたから期待していたのに、君の方か。俺も外れを引いたものだな。実に残念だ」
「……いきなり失礼過ぎません?」
「失礼? 馬鹿なことを言うな。アッフォガート家の双子なら、誰でもシェリアの方を選ぶだろう。当然のことではないか」
私リエラ・アッフォガートには双子の妹がいる。
姉だ妹だいうのは自然に決まっていたもので、これといった根拠があるわけではない。地域によっては、双子の順番というのは色々な見方をするようだし。ただ、私は物心ついた頃から、双子の姉という立ち位置だった。……と、それはまぁ大したことではないのだけれど。
双子の妹であるシェリアがいるがために、私は昔から何かと苦労してきた。
私たちの容姿はかなり似ている。目鼻立ち、髪、背格好、特に大きな差はない。が、性格だけは違っていて。私はしっかり者と見られがちな性格だが、彼女はどことなく頼りないような男受けする性格である。
そういうこともあって、両親は私よりシェリアのことが好きだった。
シェリアが泣けば私のせいにされる。シェリアと意見がぶつかった時には、私に譲るよう促す。両親は当然そんなだったし、両親以外の大人もそういう人がほとんどだった。
私とシェリアが対立した時、私の味方についてくれる人はいない。誰もがシェリアを励まし支えようとする。たとえ彼女に非があっても、大人たちは彼女を責めたりはしない。いちゃもんのようなことを言って、すべての責任がこちらにあるかのように仕立て上げる。
だから分かっている。
私を必要とする人なんていないのだと。
「……いきなり失礼過ぎません?」
「失礼? 馬鹿なことを言うな。アッフォガート家の双子なら、誰でもシェリアの方を選ぶだろう。当然のことではないか」
私リエラ・アッフォガートには双子の妹がいる。
姉だ妹だいうのは自然に決まっていたもので、これといった根拠があるわけではない。地域によっては、双子の順番というのは色々な見方をするようだし。ただ、私は物心ついた頃から、双子の姉という立ち位置だった。……と、それはまぁ大したことではないのだけれど。
双子の妹であるシェリアがいるがために、私は昔から何かと苦労してきた。
私たちの容姿はかなり似ている。目鼻立ち、髪、背格好、特に大きな差はない。が、性格だけは違っていて。私はしっかり者と見られがちな性格だが、彼女はどことなく頼りないような男受けする性格である。
そういうこともあって、両親は私よりシェリアのことが好きだった。
シェリアが泣けば私のせいにされる。シェリアと意見がぶつかった時には、私に譲るよう促す。両親は当然そんなだったし、両親以外の大人もそういう人がほとんどだった。
私とシェリアが対立した時、私の味方についてくれる人はいない。誰もがシェリアを励まし支えようとする。たとえ彼女に非があっても、大人たちは彼女を責めたりはしない。いちゃもんのようなことを言って、すべての責任がこちらにあるかのように仕立て上げる。
だから分かっている。
私を必要とする人なんていないのだと。
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