婚約破棄、沈みゆく心。

四季

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婚約破棄、沈みゆく心。

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 今日彼に別れを告げられた。

 私と彼は婚約者同士だった。
 けれどもそれは終わってしまって。

 今はもう婚約者同士ではない。

 彼には好きな人がいた。私は彼を愛していたけれど、彼は私を愛さなかった。それ自体は攻められないことかもしれないが、そういうことなのなら、もっと早くに教えてほしかった。そうすればこちらもそこまで好きにならずに済んだかもしれなかったのに。

 でも、今さら何を言っても無駄なのだろう。

 それは分かるから。
 これ以上何か言う気はない。

 ただ、今、言葉にならないほどの虚しさを抱いている。

 心は深く沈みゆく。
 虚しさや悲しさの海を下ってゆく。

 重苦しい、息苦しい。

 息が止まる前に上へ行かなくては。

 思いはあれど動けない。

 私はもう溺れているようなもの。
 今さら何もできやしない。

 いつか浮上できるのだろうか?

 それすら今は分からず。

 ただ、その切ないの中にて、遥か遠くの光に似たものを見ている。


◆終わり◆
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