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2話

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「本題に入る前に、少しだけ皆さんの前で話をさせてください」

 幸いその日の司会は私だった。

「皆さん、職場での不倫はどう思われますか?」

 皆の表情が固くなる。

「社長、どうします」
「問いに答えよう。……その質問についてだが、わしは不倫は良くないことと思っておる! わしはかつてそういうことやられ捨てられた! それ以降、不倫は最悪な罪と思っておるのだ!」

 社長が一番に答えてくれた。

「ありがとうございます、社長さん。しかし、この会社には、妻のいる身でありながらいかがわしいことを繰り返している人間がいます」
「なに!?」
「そのことについてお話させてください」
「うむ、言ってみるがいい」

 もう許さない。
 これ以上は見逃さない。

「フィレルです!!」

 妻だからこそ、彼の罪を放っておくことはしない。

「なっ……」
「え、ちょっと、どういうこと?」
「何の話なわけ?」

 ざわめきが起こる。

 フィレルは青い顔をしていた。

「不倫? それって……ええっ、ちょ、あり得ないわ……」
「よっぽどね」
「これって復讐なのかしら」
「怖すぎ」

 それから私はフィレルとレネの不倫の証拠を皆に見せた。

 少々健全とは言い難いようなものも含まれている。

「な……ナンダこれはあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 叫び出す社長。
 怒りのせいか、顔全体が真っ赤だ。
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