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4話
しおりを挟む「海、好きなんですか?」
「ああはい好きです。でもなかなか実際行ってみるのは――あまり機会がなくて。それに、やはり海ですから、貴女と行くのが一番ロマンチックだと思うのです」
好きなものについて語る時の彼はとても楽しそうな顔をしている。
純真な魅力が溢れ出ている感じ。
「ええっ……海なんてロマンチックな場所じゃないですよね……?」
「いえ! あれはロマン! ロマンチック祭りですよ!」
「そうですか」
「エレメアさんも行けばきっと惚れるはずです!」
「あ、あはは……そうですか、分かりました、じゃあ……楽しみにしながら行ってみますね」
ちなみに継母というと、もうこの世にはいない。
彼女は私がいなくなってから夫に当たり散らすようになり、罵声を浴びせたり物を投げつけたりといったことをずっと継続していたようで、その果てについに離婚を切り出されてしまったらしい。
二度目、我が父に捨てられた継母は、とんでもなく情緒不安定になって。
ある夜一人路上で叫びながら暴れていたところ、近所の人に通報されてしまい、その場で拘束されたそうだ。
以降彼女が世に出ることはなかった。
牢の中で見張りに反抗的な態度をとっていた継母、彼女はある日我慢しきれなくなった見張りに百回以上殴られてその場で死亡が確認されたそう。
でも自業自得だ。
先に余計なことをした方が悪い。
つまり他者を傷つけ続けてきていた継母こそが悪。
あくまで、私から見れば、だが。
そうして継母が亡くなった頃、その元夫である我が父もまた死亡したそうだ。
ただし、彼の場合は事件ではなく。
単なる急死。
屋敷での孤独死であった。
◆終わり◆
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