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後編

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 ◆


 早いもので、あれから五年が経ちました。

 今私は山中の家で一人暮らしをしています。

 あの後婚約破棄のことで親と喧嘩になったので、私は実家を出ることにしました。そして、ちょうどその頃にこの家を見つけ、暮らし出したのです。

 人の少ない場所での生活にはもう慣れました。
 今ではこの方が快適なくらいです。

 最近は買い出しくらいでしか人のいるところへは出掛けません。

 それでも寂しくないのは――小鬼族のポンポンが一緒にいてくれるからです。

「ポンポン、ご飯よ」
「ゴハン! ゴハン! タベタイタベルッ」
「今日はスープ。好きでしょう」
「スキスキ! スープオイシイトテモスキナンデスッ」

 彼は小柄で日頃は温厚だが、実は非常に高い戦闘能力を持っているため、いざという時にはとても頼れる。

 そういえば。

 フォガンのその後について最近知る機会があったのですが。

 彼はあの後結婚するも不倫を何度も繰り返し、妻から怒られても絶対にやめず、最終的には離婚されてしまったとのことです。
 また、離婚直後に情緒不安定になり近隣住民に襲いかかったことで、治安維持組織に拘束されたそうで――もうずっと牢屋の中にいるとのことでした。

 ま、なんにせよ、私は幸せになれました。

 運が良かった。
 ありがたいことです。


◆終わり◆
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