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後編
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編み物に没頭していたある日のことだ。
朝突然凄まじい音が響いた。
窓が割れるのではないかと心配になるほどの音である。
「な、何事!?」
「ちょっと見てくるわ。ニーナはお父様を起こしてきておいて」
「分かった、気をつけて」
「ええ!」
――結論から言えば、庭から石油が溢れ出たのだった。
その後しかるべき組織へ連絡して対処してもらい、家は無事だった。
「信じられんな、石油が出るなど」
「ええ……」
数時間経ってもなお、両親は動揺しているようだった。
いや、両親に限ったことではない。きっと。誰だってそうなるだろう、平常心でなんていられるはずもない――こんな状況におかれたなら。
◆
湧いた石油を売り、私たち一家は大金持ちになった。
おかげで編み物し放題である。
「ニーナさんって本当に編み物がお好きなのですね」
「はい、好きです」
「いつもこのように編み物を長時間なさっているのですか?」
加えて、婚約者もできた。
「そうですね、そんな感じです」
「おお……! それは凄い……! 本格的ですね」
「いやいや趣味ですよ」
「しかし作品も山ほどありますし。凄いですよ、本当に。尊敬します」
婚約者の彼は私が編み物好きであることを理解し受け入れてくれている。
……ありがたいことだ、本当に。
「今作っているこれは貴方に贈ります」
「ええッ!? 良いのですかッ!?」
「もちろんですよ。いつもお世話になっていますから、少しでもお礼をと思いまして」
ちなみにレーベルはというと、あの後好きな人である女性と交際するも上手くいかず破局してしまったそうだ。しかし振られただけで諦められない彼は女性につきまとうようになって。そんなある晩、女性の入浴中に窓ガラスを割って風呂場へ侵入し、それによって逮捕されたそうだ。
レーベルの評判は地に堕ちた。
でも仕方ないことだ。そうなっても当たり前、そういうものである。だって、女性の裸を本気で覗こうとしたのだから。しかも窓を割ってまで見ようとするなどさらにとんでもない悪しき行為である。
◆終わり◆
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