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後編

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 オーズからはしっかり慰謝料を払ってもらった。

 もちろんアーネットからも取ることを望んだ。

 彼女は最初のらりくらり逃れようとしていたが、親の知り合いにそういうことに詳しい人がいて協力してもらえたため、最終的にはほぼ強制的に払わせることができた。

 これで彼らとの関わりはおしまい。
 もう接触することはない。
 それに、あたし自身、これ以上接触しないことを望んでいる。

 嫌な思い出となってしまったことは残念だけれど、過去のことばかり見つめていても何も生まれはしない。

 多少のもやもや感はあるけれど。
 進んでいこうと思う。


 ◆


 早いもので、あの婚約破棄から三年が経った。

 あの一件の直後、父親の紹介で会ってみることになった青年と気が合い、あたしは彼と結婚した。

 彼、今の夫は、権力ある家の息子である。

 そのため不安もあった。
 ややこしいことに巻き込まれるのでは、と。

 でもそんなことはなく。

 今も幸せに暮らせている。

 あたしの今のマイブームはハーブ栽培。
 忙しいが楽しい。

 一方、オーズらはというと、結婚しようとするも揉め事になってしまったそうで……結局、正式にくっつくことはできなかったらしい。

 オーズはあたしを勝手に切り捨てたことで親と険悪になり家出。

 途中、同じく家出してきたアーネットと合流するが、夜の街を歩いている時に一人の男性に声をかけられて……ついていくと、そこは違法行為の巣であった。

 オーズは薬物を投与されたうえ所持金すべてを奪われ、アーネットは娼婦になることを強制され、二人は離れ離れになってしまったらしい。


◆終わり◆
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