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前編
しおりを挟む「お前ってさぁ~、ほんとないよな~、女として終わってるよな~」
黒髪の婚約者アベルに呼び出されたと思ったら、いきなり心ない言葉をかけられてしまった。
「ださいしさ、可愛くなろうとしないし、そう振る舞いもしないし。みっともねーと思わねーの? 俺優しいからここまで付き合ってきてやっただけだし、普通の男が相手だったらぜってーもうとっくに捨てられてる。間違いねーよ、そこは。なぁ分かるか?」
でも彼はいつもこんな感じだ、私のことを平然と悪く言う。
彼は他人を傷つけることを何とも思わない人間なのだ。
「あの、それで、用とは……?」
「げ~っ、もう聞いちゃう? それ? 自分で聞いちゃう~?」
「何でしょうか……」
「ま、仕方ねえか。なら言ってやるよ。俺! お前との婚約、破棄することにしたから!」
ああ、そうか、やっぱり。
納得できた。
むしろありがたかった、はっきりそう言ってもらえて。
「それが話ってやつよ!」
「そうですか、分かりました」
「はぁ~? 何だその態度、可愛くねえなあ」
「婚約破棄ですよね」
「ああそうだよ~?」
「では関係はここまでということで、私は去りますね。失礼します」
一礼して去ろうとしたら。
「ったく、マジ可愛くねーなゴミ」
最後の最後にそんなことを言われた。
……どこまでも酷い人。
別れしなくらい心ない言葉は呑み込んでほしかった。
何も最後まで敢えて傷つけようとしなくても良かっただろうに。
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