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前編

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「お前との婚約なんだけどよ、破棄することにしたから」

 ある日のこと、婚約者の青年ルーティアンは急にそんなことを言ってきた。

「なぜですか?」

 さすがにいきなり過ぎて驚いたので、そう尋ねてみると。

「魚屋の娘を妻にするなんて無理だって気づいたんだよな」

 そんな風に返されてしまった。

 まさかこんなことになるなんて。しかも、私が何かやらかしたとかではなく、魚屋の娘だからという理由で婚約破棄されることになるなんて。

 べつに良いではないか、魚屋の娘でも。

 そう思うのはおかしいのだろうか……。
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