薬屋の娘だった私は婚約者に切り捨てられてしまいましたが、その後ある案件から王子との縁を得ることができました。

四季

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「婚約破棄……?」
「ああ、そういうこと」
「え、あの、それは……さすがに、急過ぎません……?」
「急でも何でも関係ないでしょ」

 今日のディヴァーはいつになく心ない目つき。
 まるで私のことなんて大嫌いだと言っているかのようだ。

 彼がこんな人だったなんて知らなかった……。

「薬にしか興味のない女なんて一緒にいても楽しくないよ」
「……ディヴァーさん」
「ま、そういうことだから、これで終わりにしよ? じゃあね」

 こうして私はディヴァーに別れを告げられてしまった。

 その後、彼が私と顔を合わせることはなかった。
 伯父の知り合いのそういうことに詳しい人が協力してくれたため、ディヴァーに償いの金を支払ってもらうことはできたけれど。
 結局ディヴァーとは話すことはできず。
 そのまま彼との関係は完全に終わりを迎えることとなってしまったのだった。

 それからはまた毎日薬屋で働いた。
 特に何をするでもないので。
 一日中父の手伝いをしながら過ごしていた。

 そんな風にして暮らし、婚約破棄からちょうど一年ほどが過ぎた頃。

「初めまして、貴女がこの家の娘さんですか?」
「え……あ、はい」
「ここの店主には素晴らしく優秀な娘さんがいると聞きまして、それで、問題を解決していただきたく思い来ました」

 よさげな身形の人がやって来た。
 これまで何度も顔を合わせた常連客ではない。

 恐らく、初めてのお客さんだ。

「用件は何でしょうか」
「実は、僕の妹がよく分からない病にかかってしまいまして」
「よく分からない……病、ですか」
「そうです。よければ、城へ来てくださいませんか」
「え!?」
「僕は王子なのです」
「王子……って、えええ! 誠ですか!? なぜそのようなお方がここに!?」
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