3 / 3
3話
しおりを挟む
――それから数年。
精霊遣いとしても能力を密かに高めていた私は、気づけば、他の精霊遣いとは比べ物にならないほどの能力を手にしていました。これには自分でも驚きでした。日々の積み重ね、一つ一つの訓練が、私をここまで成長させるとは――嘘みたいな話でした。でも事実だったのです。
そうして私は国に選ばれた『最高ランク精霊遣い』となりました。
そう決まった数日後。
私の前に一人の男性が現れました――それは、かつて私を汚らわしいものとして切り捨てたグヴェラーでした。
「リリアナ、驚いたよ、こんなに偉くなるなるとは」
「何のご用でしょうか」
「ふん。前はああ言ったが、今ならお前と結婚してやってもいい。魔女と結婚するのは嫌だが、国が認めた最高峰の魔女であれば話は別だ。今のお前であれば、受け入れてやる」
意味が分かりませんでした。
私はもうそんなことを望んではいません。
そもそも、過去に自分を汚らわしいなどと言ってきた人と結ばれたい人なんて、かなり稀というものでしょう。
「結構です」
私は笑顔でそう返しました。
「なっ……、俺と結ばれることができるのだぞ!?」
「いえ、結構です」
「拒否するというのか!?」
「はい。結ばれたくありませんので、お帰りください」
あんなことを言った人とやり直すなんて絶対に嫌です。
さようなら、グヴェラー。
その後も私は結婚しませんでした。けれども、精霊遣いとして、世のため人々のためにできることをしました。また、精霊遣いというものが悪い存在ではないのだということを広めるべく、地道な活動も重ねました。
それは私にとって幸福でした。
ちなみにグヴェラーはというと、あれから「最高ランク精霊遣いに上から目線で復縁を迫って拒否された情けない人」として有名になり、道を歩いているだけで周りから冷ややかに笑われてしまうようになってしまったそうです。
◆終わり◆
精霊遣いとしても能力を密かに高めていた私は、気づけば、他の精霊遣いとは比べ物にならないほどの能力を手にしていました。これには自分でも驚きでした。日々の積み重ね、一つ一つの訓練が、私をここまで成長させるとは――嘘みたいな話でした。でも事実だったのです。
そうして私は国に選ばれた『最高ランク精霊遣い』となりました。
そう決まった数日後。
私の前に一人の男性が現れました――それは、かつて私を汚らわしいものとして切り捨てたグヴェラーでした。
「リリアナ、驚いたよ、こんなに偉くなるなるとは」
「何のご用でしょうか」
「ふん。前はああ言ったが、今ならお前と結婚してやってもいい。魔女と結婚するのは嫌だが、国が認めた最高峰の魔女であれば話は別だ。今のお前であれば、受け入れてやる」
意味が分かりませんでした。
私はもうそんなことを望んではいません。
そもそも、過去に自分を汚らわしいなどと言ってきた人と結ばれたい人なんて、かなり稀というものでしょう。
「結構です」
私は笑顔でそう返しました。
「なっ……、俺と結ばれることができるのだぞ!?」
「いえ、結構です」
「拒否するというのか!?」
「はい。結ばれたくありませんので、お帰りください」
あんなことを言った人とやり直すなんて絶対に嫌です。
さようなら、グヴェラー。
その後も私は結婚しませんでした。けれども、精霊遣いとして、世のため人々のためにできることをしました。また、精霊遣いというものが悪い存在ではないのだということを広めるべく、地道な活動も重ねました。
それは私にとって幸福でした。
ちなみにグヴェラーはというと、あれから「最高ランク精霊遣いに上から目線で復縁を迫って拒否された情けない人」として有名になり、道を歩いているだけで周りから冷ややかに笑われてしまうようになってしまったそうです。
◆終わり◆
0
お気に入りに追加
21
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
魔法を使える私はかつて婚約者に嫌われ婚約破棄されてしまいましたが、このたびめでたく国を護る聖女に認定されました。
四季
恋愛
「穢れた魔女を妻とする気はない! 婚約は破棄だ!!」
今日、私は、婚約者ケインから大きな声でそう宣言されてしまった。
王太子様に婚約破棄されたけど、私はあなたの婚約者ではないのですが
ぬぬぬ木
恋愛
貧乏男爵令嬢であるキャノンは、王太子様の婚約者であるセレナーデ令嬢の使用人をしている。美しい彼女だが、性格は恐ろしい程酷くって……
いつも命じれらるのは無茶な"お仕事"。そして勤務最終日の今日、命じられたのは卒業パーティに代わりに参加しろというもの!
そこで王太子様から告げられる婚約破棄。……でもなんで私に言ってくるの!? 私あなたの婚約者じゃないんですけど!?
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
微笑みの令嬢に待っていたのは婚約破棄でした、愛想が無いと言ったのはあなたでしょ!?
coco
恋愛
私は表情に乏しく、婚約者から愛想が無い女だと言われた。
反省した私は、色々な人に笑顔を見せる様にした。
そのおかげで、今では微笑みの令嬢と呼ばれる様になった。
そんな私を待っていたのは、彼からの突然の婚約破棄だった。
おまけに、男タラシと罵倒までされてしまい─!?
【完結】王女の婚約者をヒロインが狙ったので、ざまぁが始まりました
miniko
恋愛
ヒロイン気取りの令嬢が、王女の婚約者である他国の王太子を籠絡した。
婚約破棄の宣言に、王女は嬉々として応戦する。
お花畑馬鹿ップルに正論ぶちかます系王女のお話。
※タイトルに「ヒロイン」とありますが、ヒロインポジの令嬢が登場するだけで、転生物ではありません。
※恋愛カテゴリーですが、ざまぁ中心なので、恋愛要素は最後に少しだけです。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
私の主張は少しも聞いてくださらないのですね
四季
恋愛
王女マリエラは、婚約者のブラウン王子から、突然婚約破棄を告げられてしまう。
隣国の王族である二人の戦いはやがて大きな渦となり、両国の関係性をも変えてしまうことになって……。
婚約破棄されたら、既に婚約者のいる女性と婚約していることが判明しました
hikari
恋愛
ブルボン王国の王弟、アーチュウに婚約破棄されたサーラ。
アーチュウは既に婚約者がいるはずのブリジットと浮気をしていたのだ!
ブリジットは公爵令息と婚約破棄をしていたことが判明!!しかも、ブリジットは王立学園のクラスメイトだった!!
さらに、ブリジットはサーラが娼婦だという噂を流す。しかし、親友のカミーユと魔法の教師クリストフだけがサーラの味方となってくれた。サーラは魔法が苦手だが、クリストフはやさしく指導してくれる。
そしてサーラはクリストフに惚れていくが、クリストフは実は過去の記憶を失っていて!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる