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後編

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 ◆


 ――数年後。

 私は今富豪になっている。

 なぜそんなことになったか? 簡単なことだ、私が編み出した円を描く道具コンパスが世に出て大人気になったのだ。

 その収入が私をこの場所へと連れてきてくれた。

 ただの発明品でしかなかったものが世に広まり人々に知られたことで有名な道具となった――そしてそれによって莫大な富を築けたのだ。

 確かに運もあるだろう。

 でもそれも含めて人生だ。

 こうして裕福に暮らせる今に、運命に、感謝して。
 そうやって生きてゆこう。
 これからも真っ直ぐに歩いてゆこう。

 ――それが私の思いである。

 そうそうそういえば。

 一年ほど前、かつて私を捨てた男アドモルが急に家にやって来て「金があるならやり直してやってもいい、チャンスをやろう」と偉そうに言ってきたのだが、丁重にお断りした。すると彼は顔を真っ赤にして怒り、そのまま「やっぱクズだな!」などと吐き捨てて去っていった。

 その後彼は馬車数台が絡む事故によって落命したそうだ。

 まぁべつにだからどうということはないのだが……。


◆終わり◆
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