婚約破棄された私はこれからはのんびり暮らすことを最優先とします!

四季

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前編

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 それは、何ということのない平凡という言葉が似合うような日の、昼下がりのことでした。

「あのさ、君との婚約についてなんだけど」
「婚約について? 何ですか?」
「君との婚約、破棄させてもらうことにしたから」

 彼は柔らかな表情のままさらりとそんなことを口にするのです。

「え、私、何かやらかしていました……?」
「ううんべつに」
「えっ……でも、だとしたら、どうして……?」
「婚約を破棄したくなった。ただそれだけだよ。ということで、ばいばい」

 こうして私は切り捨てられました。

 彼のために色々考えてやってきたつもりでいた。
 それなのにこんな終わり方って。

 あまりに虚しくて。

 その日、私は『己のため』生きることを決意したのでした。
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