紅白饅頭を食べたら婚約破棄された。～あれが罠だとは思いませんでした～

後編

　◆


　あれから九年。

　私は、領主の男性と結婚し、二人の子にも恵まれた。

　今は赤ちゃんの世話は少し落ち着いて、ほんの少しではあるけれど気が楽になってきているところだ。

　とはいえまだまだ育児は続く。
　気を抜くにはまだ早い。

　子はまだ二人とも大人にはなっていないから。

　でも、毎日、とても心地よく生活できている。

　一方モルトレッツはというと、あれからも恋人や婚約者ができるたびに妹の罠で関係を壊され、いまだに結婚できていないそうだ。

　彼自身は結婚の意思を持ってはいるようだが、相手に対して一度怒ってしまうとどうしてもその人のことを許せなくなって暴言を吐いてしまい、それによって関係が終わってしまうのだそう。

　ま、私の時もそうだったから、そんなものだろうとは思うが。

　でも、その癖をどうにかしない限り、一生そんなことの繰り返しになるだろう。


◆終わり◆