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第百一回 アーロ(2)
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「例エバ、ネー……」
ハートを逆さ向けたような形の頭を軽く傾げ、少しばかり考えるアーロ。
僕は彼が何か答えるのを待つ。
それから二三十秒ほどが経過してから、彼はようやく、再び口を開いた。
「例エバ! コンナ味ハドゥオカートカネ!」
「なるほど……」
何となく掴めた気はする。
しかし、なかなか難しい。
食材や料理に関する知識が豊富なら何かしら提案できるのかもしれないが、残念なことに、僕にはそういった知識はない。
「意外性ガアレバ、スグォクアリガタイーノ!」
料理はあまりしたことがない。それゆえ、良い提案ができるとは思えない。
となると、食材の組み合わせ。
食材の組み合わせなら、今まで食べた物の情報からだけでも、少しは思いつけそうな気がする。
「食材の組み合わせでも問題ありませんか?」
「イイーヨ!」
「では、意外性のある組み合わせを考えてみますね」
「タンーニ岩山手スァングァ好キナ組ムィ合ワセトカデモイイーヨ!」
アーロはそう言って、ワインレッドの長い睫毛が生えた大きな目を、ぱちぱちさせる。そのまばたきの派手さといったら、女性顔負けだ。
それから僕は考えた。
無論、食材の組み合わせについてである。
既にあるようなベタな組み合わせでは駄目だ。だが、意外性があったとしても、食べた瞬間吐き出してしまいそうな組み合わせでは、まったく意味がない。
意外性があり、それなりに美味しい。
そういう組み合わせを考えなくてはならない。
だが、こういう場合は案外、難しく考えない方が良いのかもしれない。そう思う部分があったから、僕は、なるべく感覚的に考えて提案するようにしようと思った。
「思いつきました!」
僕はつい考え込んでしまう質だが、今日は、思考するのは二三分くらいだけにしておいた。
「ホント!? ナラ教エートェ! 言ットェミーテ!」
アーロは食いついてくる。
それも、凄まじい勢いで。
「前に食べて美味しかったのは、セロリとリンゴです」
「セロリトリンゴ!? ソレハモウアルーヨ! ヨク見カクェルーヨ!」
豪快に否定されてしまった。
僕は、まだ世の中にそんなにない組み合わせだと思っていたのだが、アーロにしてみればよくある組み合わせだったようだ。
やはり知識量が違うのか……。
否定されることには慣れていても、やはり、残念な気分にならないでいることはできない。
「他ニハナイーノ!?」
「えぇと、他は……醤油とヨーグルトとかですかね?」
「ウウン、ナルホドーネ……」
アーロは目をぱちぱちさせながら、曖昧な返しをしてくる。セロリとリンゴよりかはましだったのかもしれないが、「良いのが来た!」というところまでは至っていないようだ。
ちなみに、ここだけの話、醤油とヨーグルトの組み合わせは試してみたことがない。
「ホカニーハ、ナニークァアル?」
「僕が好きな組み合わせは……バニラアイスとキムチですかね」
「ンンゥ! ソルェハ、ワリート新鮮デ、イイーネ!」
個人的に好きな組み合わせを述べてみただけだが、今回は頷いたもらえた。
少しは認めてもらえたのかもしれない。
ハートを逆さ向けたような形の頭を軽く傾げ、少しばかり考えるアーロ。
僕は彼が何か答えるのを待つ。
それから二三十秒ほどが経過してから、彼はようやく、再び口を開いた。
「例エバ! コンナ味ハドゥオカートカネ!」
「なるほど……」
何となく掴めた気はする。
しかし、なかなか難しい。
食材や料理に関する知識が豊富なら何かしら提案できるのかもしれないが、残念なことに、僕にはそういった知識はない。
「意外性ガアレバ、スグォクアリガタイーノ!」
料理はあまりしたことがない。それゆえ、良い提案ができるとは思えない。
となると、食材の組み合わせ。
食材の組み合わせなら、今まで食べた物の情報からだけでも、少しは思いつけそうな気がする。
「食材の組み合わせでも問題ありませんか?」
「イイーヨ!」
「では、意外性のある組み合わせを考えてみますね」
「タンーニ岩山手スァングァ好キナ組ムィ合ワセトカデモイイーヨ!」
アーロはそう言って、ワインレッドの長い睫毛が生えた大きな目を、ぱちぱちさせる。そのまばたきの派手さといったら、女性顔負けだ。
それから僕は考えた。
無論、食材の組み合わせについてである。
既にあるようなベタな組み合わせでは駄目だ。だが、意外性があったとしても、食べた瞬間吐き出してしまいそうな組み合わせでは、まったく意味がない。
意外性があり、それなりに美味しい。
そういう組み合わせを考えなくてはならない。
だが、こういう場合は案外、難しく考えない方が良いのかもしれない。そう思う部分があったから、僕は、なるべく感覚的に考えて提案するようにしようと思った。
「思いつきました!」
僕はつい考え込んでしまう質だが、今日は、思考するのは二三分くらいだけにしておいた。
「ホント!? ナラ教エートェ! 言ットェミーテ!」
アーロは食いついてくる。
それも、凄まじい勢いで。
「前に食べて美味しかったのは、セロリとリンゴです」
「セロリトリンゴ!? ソレハモウアルーヨ! ヨク見カクェルーヨ!」
豪快に否定されてしまった。
僕は、まだ世の中にそんなにない組み合わせだと思っていたのだが、アーロにしてみればよくある組み合わせだったようだ。
やはり知識量が違うのか……。
否定されることには慣れていても、やはり、残念な気分にならないでいることはできない。
「他ニハナイーノ!?」
「えぇと、他は……醤油とヨーグルトとかですかね?」
「ウウン、ナルホドーネ……」
アーロは目をぱちぱちさせながら、曖昧な返しをしてくる。セロリとリンゴよりかはましだったのかもしれないが、「良いのが来た!」というところまでは至っていないようだ。
ちなみに、ここだけの話、醤油とヨーグルトの組み合わせは試してみたことがない。
「ホカニーハ、ナニークァアル?」
「僕が好きな組み合わせは……バニラアイスとキムチですかね」
「ンンゥ! ソルェハ、ワリート新鮮デ、イイーネ!」
個人的に好きな組み合わせを述べてみただけだが、今回は頷いたもらえた。
少しは認めてもらえたのかもしれない。
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