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第五十二回 成果報告
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翌日、僕は事務所へと向かった。
本当は今日は、行かなくてもいい日である。ガンセッキが協力してくれるということはメールで由紀に伝えておいたし。
だが、僕としては、昨日の成果を由紀に直接伝えたい部分もあって。
なので僕は、事務所へ向かったのである。
「……ということで、三人参加していただけそうです!」
由紀と対面した僕は、いつになくはきはきとした調子で、胸を張って告げた。
いつもはろくにまともな報告ができない僕だが、今日ばかりは、しっかりと報告することができる。上手くやったという自信があるから。
そんな自信に満ちた僕に向けて、由紀は言う。
「そう! やっぱりね!」
「……え?」
褒めてもらえると思っていただけに、彼女の反応は少々意外だった。
「ボクラワルイーゼはあたしの親しかった怪人が勤めてたところなの。だから、きっと協力してくれるだろうとは思っていたけど——本当に協力してもらえて良かったー」
ほ、褒められない……だとッ!?
それが、今の僕の心の声。
「由紀さんのお知り合いだから、あんなにすんなりと協力して下さったのですね……」
「そうだね! あ。でも、もちろん岩山手くんの頑張りもあると思うよっ」
一応少しは認めてくれるみたいだ。
「実際に行って話したのは、岩山手くんだもの」
「い、いえ。僕はそんな」
胸の前で手を振る。
いざ褒められると、恥ずかしいのだ。
「と、ところで!」
恥ずかしさのあまり、話題を変えたくなってしまう。
「その、親しかった怪人というのは、あの写真の方ですか?」
「え? ……あー、うん」
由紀の表情がほんの少しだけ曇った気がしたけれど、僕は迷わず話を継続する。
「もし良かったら、その方との出会いとか、聞かせていただけませんか」
「えぇっ。岩山手くん、そんなことに興味があるの? もう過去のことだよっ?」
由紀は怪訝な顔をする。
「面し——いや、そうじゃなくて。その、少し興味があるんです」
危うく「面白そう」などと言ってしまうところだった。
そんなことを言ったら、他人の過去を面白がる嫌なやつになってしまうではないか。由紀に嫌われかねない。
「今『面白そう』って言おうとした?」
「まっ……まさか! そんな不謹慎なこと、言うわけないじゃないですか!」
「ふふ。ま、そうだよね」
小さく笑みをこぼす由紀。
その表情には、いつもの太陽のような華やかさはなく。まるで、街の隅で風に揺られている一本の花のようだった。
「いいよ。せっかくの機会だし、ちょっと話そうかな」
「無理はしなくて良いですよ」
「いいの。岩山手くんになら」
彼女のことを少し知ることができそうなのは嬉しい。が、逆に彼女を傷つけてしまわないか、そこは少々不安でもある。
「あの人と出会ったのは、ちょうど今くらいの季節。そう——夏の暑い頃だったわ」
本当は今日は、行かなくてもいい日である。ガンセッキが協力してくれるということはメールで由紀に伝えておいたし。
だが、僕としては、昨日の成果を由紀に直接伝えたい部分もあって。
なので僕は、事務所へ向かったのである。
「……ということで、三人参加していただけそうです!」
由紀と対面した僕は、いつになくはきはきとした調子で、胸を張って告げた。
いつもはろくにまともな報告ができない僕だが、今日ばかりは、しっかりと報告することができる。上手くやったという自信があるから。
そんな自信に満ちた僕に向けて、由紀は言う。
「そう! やっぱりね!」
「……え?」
褒めてもらえると思っていただけに、彼女の反応は少々意外だった。
「ボクラワルイーゼはあたしの親しかった怪人が勤めてたところなの。だから、きっと協力してくれるだろうとは思っていたけど——本当に協力してもらえて良かったー」
ほ、褒められない……だとッ!?
それが、今の僕の心の声。
「由紀さんのお知り合いだから、あんなにすんなりと協力して下さったのですね……」
「そうだね! あ。でも、もちろん岩山手くんの頑張りもあると思うよっ」
一応少しは認めてくれるみたいだ。
「実際に行って話したのは、岩山手くんだもの」
「い、いえ。僕はそんな」
胸の前で手を振る。
いざ褒められると、恥ずかしいのだ。
「と、ところで!」
恥ずかしさのあまり、話題を変えたくなってしまう。
「その、親しかった怪人というのは、あの写真の方ですか?」
「え? ……あー、うん」
由紀の表情がほんの少しだけ曇った気がしたけれど、僕は迷わず話を継続する。
「もし良かったら、その方との出会いとか、聞かせていただけませんか」
「えぇっ。岩山手くん、そんなことに興味があるの? もう過去のことだよっ?」
由紀は怪訝な顔をする。
「面し——いや、そうじゃなくて。その、少し興味があるんです」
危うく「面白そう」などと言ってしまうところだった。
そんなことを言ったら、他人の過去を面白がる嫌なやつになってしまうではないか。由紀に嫌われかねない。
「今『面白そう』って言おうとした?」
「まっ……まさか! そんな不謹慎なこと、言うわけないじゃないですか!」
「ふふ。ま、そうだよね」
小さく笑みをこぼす由紀。
その表情には、いつもの太陽のような華やかさはなく。まるで、街の隅で風に揺られている一本の花のようだった。
「いいよ。せっかくの機会だし、ちょっと話そうかな」
「無理はしなくて良いですよ」
「いいの。岩山手くんになら」
彼女のことを少し知ることができそうなのは嬉しい。が、逆に彼女を傷つけてしまわないか、そこは少々不安でもある。
「あの人と出会ったのは、ちょうど今くらいの季節。そう——夏の暑い頃だったわ」
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