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第二十六回 マンティーデ(2)
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僕はネーミングセンスがない。小学校の頃から、他の子たちよりずっとなかった。何か名称を考えなくてはならない場面で、僕が案を述べると、かなりの確率で笑いが起こった。大爆笑になったことだってある。
そんな僕に、かっこいいあだ名を考えろと言うのか?
無理に決まっている!
……いや、そもそも、かっこいいあだ名なんてものは存在するのだろうか。
あだ名というと、その人の特徴を表現するものが多いような気がする。それも、負の方向性であることが多いように思うのだ。クラスのかっこいい男子に対して「イケメン」「かっこいいくん」などというあだ名はあまりつけないだろう。
だが、今この状況で、皮肉るようなあだ名を考えるわけにはいかない。
そんなことをしたら、マンティーデを怒らせてしまうから。
「ひゃっふーっ! どーだー? もう考えたかー!?」
「少々お待ち下さい」
「はぁー? おっせーなー!」
マンティーデの乱暴な言葉遣いには、どうも馴染めない。
彼にしてみれば普通で、悪気なんてないのだろう。だが、そうと分かってはいても言われた方が不愉快な思いをすることは確か。彼は、相手のことを考えたりしないのだろうか。
「俺様の魅力が凄すぎて難しーのは分かるけどよ! でも頑張ってくれよな! ひゃっふーっ!」
いちいち挟まれる「ひゃっふーっ!」が、微妙に鬱陶しい。
「はい」
僕はそれだけ返して、考える。そんな僕に、マンティーデはさらりと言ってくる。
「あんまり悩まなくていーぜ! 取り敢えず、思いついたら言ってみなぁっ!」
「では……『カマちゃん』はどうでしょう」
一応言ってみた。
するとマンティーデは、驚くべき速さで近づいてきて、こちらを睨んでくる。
「何だソレぇ! ダサすぎんだろ!」
「すみません……」
マンティーデは本格的に怒っているようだ。彼の顔は、鬼のような形相になっている。ダサいと言われることは想像していたものの、まさかここまで怒られるとは思わなかった。
「俺様のかっこよさは、どこへいったァ!!」
「す、すみません……」
「俺様のこと、分かってなさすぎだろォ!!」
分かるわけないだろォ! と逆ギレしたい気分だ。
「他だ、他! 何でもいいから言ってみろ!」
相談内容自体はそれほど複雑ではない。が、僕には相性の悪い案件だ。もういっそ、由紀に考えてもらった方が早いような気さえする。
「えぇと……ではいくつかご提案させていただきますね」
「おぅ! よろしくぅーっ!」
マンティーデは大声でそう言って、またうろつき始めた。
なんて落ち着きがないのだろう。
「キリちゃん」
「はぁーんっ!? イワヤマテ、センスなさすぎだろ!!」
「カマキリ先輩」
「おい! カマキリにこだわるなーっ!」
どうやら、カマキリ要素に注目してはならないようだ。
「すみません。カマキリのような雰囲気がかっこいいな、と思ったので……」
すると、マンティーデは急に顔を真っ赤にした。
「か、かかかかっこいいだとーっ!? 俺様がっ!?」
「はい」
「……ふっ、ふん! なかなか分かーってんじゃねぇか!」
カマキリ要素を褒められて照れているようだ。
まさかあんな一言で照れ始めるとは思わなかったが、怒り出されるよりかはずっと良い。
「じゃ、まぁ、カマキリでもいいぜ! けど、ダサいのはアウトな。よろしくぅーっ!」
そんな僕に、かっこいいあだ名を考えろと言うのか?
無理に決まっている!
……いや、そもそも、かっこいいあだ名なんてものは存在するのだろうか。
あだ名というと、その人の特徴を表現するものが多いような気がする。それも、負の方向性であることが多いように思うのだ。クラスのかっこいい男子に対して「イケメン」「かっこいいくん」などというあだ名はあまりつけないだろう。
だが、今この状況で、皮肉るようなあだ名を考えるわけにはいかない。
そんなことをしたら、マンティーデを怒らせてしまうから。
「ひゃっふーっ! どーだー? もう考えたかー!?」
「少々お待ち下さい」
「はぁー? おっせーなー!」
マンティーデの乱暴な言葉遣いには、どうも馴染めない。
彼にしてみれば普通で、悪気なんてないのだろう。だが、そうと分かってはいても言われた方が不愉快な思いをすることは確か。彼は、相手のことを考えたりしないのだろうか。
「俺様の魅力が凄すぎて難しーのは分かるけどよ! でも頑張ってくれよな! ひゃっふーっ!」
いちいち挟まれる「ひゃっふーっ!」が、微妙に鬱陶しい。
「はい」
僕はそれだけ返して、考える。そんな僕に、マンティーデはさらりと言ってくる。
「あんまり悩まなくていーぜ! 取り敢えず、思いついたら言ってみなぁっ!」
「では……『カマちゃん』はどうでしょう」
一応言ってみた。
するとマンティーデは、驚くべき速さで近づいてきて、こちらを睨んでくる。
「何だソレぇ! ダサすぎんだろ!」
「すみません……」
マンティーデは本格的に怒っているようだ。彼の顔は、鬼のような形相になっている。ダサいと言われることは想像していたものの、まさかここまで怒られるとは思わなかった。
「俺様のかっこよさは、どこへいったァ!!」
「す、すみません……」
「俺様のこと、分かってなさすぎだろォ!!」
分かるわけないだろォ! と逆ギレしたい気分だ。
「他だ、他! 何でもいいから言ってみろ!」
相談内容自体はそれほど複雑ではない。が、僕には相性の悪い案件だ。もういっそ、由紀に考えてもらった方が早いような気さえする。
「えぇと……ではいくつかご提案させていただきますね」
「おぅ! よろしくぅーっ!」
マンティーデは大声でそう言って、またうろつき始めた。
なんて落ち着きがないのだろう。
「キリちゃん」
「はぁーんっ!? イワヤマテ、センスなさすぎだろ!!」
「カマキリ先輩」
「おい! カマキリにこだわるなーっ!」
どうやら、カマキリ要素に注目してはならないようだ。
「すみません。カマキリのような雰囲気がかっこいいな、と思ったので……」
すると、マンティーデは急に顔を真っ赤にした。
「か、かかかかっこいいだとーっ!? 俺様がっ!?」
「はい」
「……ふっ、ふん! なかなか分かーってんじゃねぇか!」
カマキリ要素を褒められて照れているようだ。
まさかあんな一言で照れ始めるとは思わなかったが、怒り出されるよりかはずっと良い。
「じゃ、まぁ、カマキリでもいいぜ! けど、ダサいのはアウトな。よろしくぅーっ!」
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