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第十四回 モグリトエハ(2)
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モグリトエハは、細長い腕の先端で、巾着袋をじわじわと開けていく。その作業が始まって数十秒ほどが経過して、巾着袋の口はようやく開いた。
彼が取り出したのは、ゲーム機。
二つ折れになっているもので、真上から見ると横長の長方形をしている。よく見かける、僕も持っていたゲーム機だ。
「これなんですー」
彼はそう言って、ゲーム機を開き、手の先で電源ボタンを押す。すると、微かにプツッと音がして、ゲーム機の画面が光を放ち始めた。
「ゲーム……ですか?」
「はいー」
「そのゲーム機、僕も昔よく遊びました」
すると、モグリトエハは苦笑する。
「変ですよねー。この年でゲームなんて」
確かに、彼は大人だ。だが、大人だからといってゲームをしてはならないという決まりはないだろう。実際、僕だって、家ではよくゲームをしている。
「そんなことないと思いますよ!」
はっきりと言い放つ。
本当は、こんな大きな声で言うべきところではなかったのかもしれないが。
「……そうですかー?」
「はい。モグリトエハさんがゲームをお好きなのは、悪いことではないと思います」
「嬉しいですー。そう言っていただけると、ほっとしますー」
そんな風に言葉を交わしている間、彼はずっと、ゲーム機を操作していた。
「ところでモグリトエハさん」
「はいー?」
「今日のご相談は、ゲームに関することなのですか」
いきなり踏み込んでいくのは失礼かもしれない、と思いつつも、気になってつい尋ねてしまう。
個人的には若干後悔したのだが、彼が少しも嫌な顔をせず「はいー」と答えてくれたから、僕の心は少し救われた。もしここで彼に嫌な顔をされたりなんかしていたら、僕の心はダメージを受けていたことだろう。
「実は……ここのステージがクリアできなくてですねー」
小学生のような相談。
まさかの展開に動揺してしまう。
「えっ、あ、はい」
モグリトエハはゲーム機の画面を見せてくる。
どうやら、シューティングゲームのようだ。
個人的にあまり経験のないジャンルのゲームである。それだけに、きちんと力になれるか不安でいっぱいだ。不安要素が多すぎる。
「この前のステージまでは、それなりにすんなり進めていけたんですー。けど、このステージはどうやってもゲームオーバーになってしまってですねー」
急に積極的に話し出すモグリトエハ。
「なるほど。よくありますよね、そういうこと」
僕もゲームはわりとよくやっていた。しかし、得意ということはなくて。興味はあってもセンスが不足していて、大概途中で詰まってしまっていた。何十本ものゲームを遊んできたが、完全にクリアできたものといったら、半分あるかないか程度。
……ほろ苦い思い出である。
「分かっていただけますー?」
「はい。とてもよく分かります」
できれば分かりたくなかったが。
「そこでですねー、このステージをクリアするお手伝いをしていただきたいんですー」
これは困った内容だ。
彼がそこまで詰まってしまっているということは、そこそこ難しいステージなのだろう。
それをセンスのない僕がクリアするなんて、ほぼ不可能。
奇跡でも起こらない限り、クリアは無理だと思う。
彼が取り出したのは、ゲーム機。
二つ折れになっているもので、真上から見ると横長の長方形をしている。よく見かける、僕も持っていたゲーム機だ。
「これなんですー」
彼はそう言って、ゲーム機を開き、手の先で電源ボタンを押す。すると、微かにプツッと音がして、ゲーム機の画面が光を放ち始めた。
「ゲーム……ですか?」
「はいー」
「そのゲーム機、僕も昔よく遊びました」
すると、モグリトエハは苦笑する。
「変ですよねー。この年でゲームなんて」
確かに、彼は大人だ。だが、大人だからといってゲームをしてはならないという決まりはないだろう。実際、僕だって、家ではよくゲームをしている。
「そんなことないと思いますよ!」
はっきりと言い放つ。
本当は、こんな大きな声で言うべきところではなかったのかもしれないが。
「……そうですかー?」
「はい。モグリトエハさんがゲームをお好きなのは、悪いことではないと思います」
「嬉しいですー。そう言っていただけると、ほっとしますー」
そんな風に言葉を交わしている間、彼はずっと、ゲーム機を操作していた。
「ところでモグリトエハさん」
「はいー?」
「今日のご相談は、ゲームに関することなのですか」
いきなり踏み込んでいくのは失礼かもしれない、と思いつつも、気になってつい尋ねてしまう。
個人的には若干後悔したのだが、彼が少しも嫌な顔をせず「はいー」と答えてくれたから、僕の心は少し救われた。もしここで彼に嫌な顔をされたりなんかしていたら、僕の心はダメージを受けていたことだろう。
「実は……ここのステージがクリアできなくてですねー」
小学生のような相談。
まさかの展開に動揺してしまう。
「えっ、あ、はい」
モグリトエハはゲーム機の画面を見せてくる。
どうやら、シューティングゲームのようだ。
個人的にあまり経験のないジャンルのゲームである。それだけに、きちんと力になれるか不安でいっぱいだ。不安要素が多すぎる。
「この前のステージまでは、それなりにすんなり進めていけたんですー。けど、このステージはどうやってもゲームオーバーになってしまってですねー」
急に積極的に話し出すモグリトエハ。
「なるほど。よくありますよね、そういうこと」
僕もゲームはわりとよくやっていた。しかし、得意ということはなくて。興味はあってもセンスが不足していて、大概途中で詰まってしまっていた。何十本ものゲームを遊んできたが、完全にクリアできたものといったら、半分あるかないか程度。
……ほろ苦い思い出である。
「分かっていただけますー?」
「はい。とてもよく分かります」
できれば分かりたくなかったが。
「そこでですねー、このステージをクリアするお手伝いをしていただきたいんですー」
これは困った内容だ。
彼がそこまで詰まってしまっているということは、そこそこ難しいステージなのだろう。
それをセンスのない僕がクリアするなんて、ほぼ不可能。
奇跡でも起こらない限り、クリアは無理だと思う。
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