誰にも愛されない――そう思っていたのですが、それは間違いだったのかもしれません。

四季

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前編

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「きみのことを愛そうと、これまでずっと頑張ってきた」

 婚約者であるルブールは真顔でそのような言葉を発する。

「だが、どうしても無理だった。きみを愛することはぼくにはできそうにない。たとえどれだけ努力しようとも、ぼくは、きみに魅力を感じない。そして、そのようなきみと共に生きていくことは、やはり、どうしても、したくない」

 私が誰かに愛されるような人間でないことは分かっていた。
 ただそれでも。
 婚約者となら良い関係を築けるのではないかと思っていた。

 でも甘かった。

 彼もまた人間で。
 だから私を愛さない。

「なので、婚約は破棄とする」

 告げられた瞬間はどことなくぼんやりしていた。
 まるで他人の話を聞いているような。
 自分のことと分かっているのになぜかそうとは思えないような――そんな不思議な感覚だった。

「そうですか、分かりました」
「ごめんな」
「いえ……では私はこれで去りますね、さようなら」

 私が彼に愛されることはない。
 否、愛されるうんぬんどころか、受け入れられることすらない。

 それが現実だった。
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