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前編
しおりを挟む「アンタなんてクソな女よ! みっともない! ダサいくせに何生きているよ! ばっかじゃないの!」
私の母は感情の波が大きい人だった。
不機嫌になるとすぐに叫ぶ。
そして、娘である私に、最も強く当たり散らすのだ。
消えろ、とか、ごみ、とか、そんな言葉を発されるのは日常茶飯事だった。
でも、そんな母は、私が十歳になった日に亡くなった。
その日母は初めて手を出した。私にビンタをしたのだ。だがその瞬間彼女は頭部が吹き飛んだ。そして沈黙。一瞬にして母との関係は終わった。
思えばあれもそうだったのだ――後に知ることとなった、私に備わっている『ざまぁ能力』だ。
◆
二十歳になった春。
私は婚約した。
エッドフィグという青年と。
だが彼ははじめから私を良く思っていないようで……。
「お前との婚約、破棄とする!!」
婚約から数週間が過ぎたある日、突如、終わりを告げられてしまった。
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